近年、日本では中小企業を中心に政府による働き方改革の推進や労働環境の変化により、テレワークの導入を進めてきています。
中国では2020年1月から新型コロナウィルスによる疫病の流行が本格化し、人同士の接触による感染の拡大を避けるために、企業がテレワークを導入せざるを得ない状況になっています。日本でも、オリンピックまでにと考えている企業が、前倒しての導入を検討しなければならない状況になりつつあるように思います。
現在のデータから判断すると、流行初期の混乱は沈静化し、中国国内での感染拡大はある程度コントロールできているように見えます。ただし、各業界の経済活動が元の状態に戻るまでには至っていません。
(出典:https://esterinaanderson.com/tag/telework/)
多くの企業が業務再開の目途がつかない状況が続いており、家賃や人件費などが経営を圧迫している状態です。このような状況の中で、フレックスタイム制のテレワークを採用して業務を再開する企業が増えています。
ただし、アリババやインテルなどITを利用した社内システムを持つ大手企業や外資企業を除けば、多くの中国企業はテレワークの導入は一時的なものであり、今回の疫病が終息すれば従来の形に戻ると考えられます。
今回の疫病にかかわらず、不測の事態に備えて国や企業は、社外でも業務活動が行える体制を構築しておく必要があります。
(出典:https://asia.nikkei.com/Spotlight/Coronavirus/Thousands-work-from-home-as-Sony-and-Takeda-join-telework)
しかし、テレワークの導入に際しては、いくつかの問題を解決する必要があります。
一つ目はファイルの共有です。これは重要または機密情報の保護に関わる問題です。
二つ目はコミュニケーションの問題です。業務を円滑に進めるためには、社内の人間関係や仕事の引継ぎ、進捗フォローなどが必要であり、多くの企業が導入しているテレワークでは十分に対応できないのが現状です。
(出典:https://apkgk.com/ja/com.alibaba.android.rimet)
テレワークに必要な企業独自のシステムを構築するためには、多くの時間とコストが必要になります。
このため、中小企業は既存のソフトウェアを利用したテレワークの導入が、最も効率的かつ現実的だと言えます。アリババが開発した釘釘(DingTalk)は、最もよく利用されている業務管理のソフトウェアです。このソフトウェアでは、企業内のデータ共有、勤務管理、業務の進捗管理、音声・ビデオを利用した会議やコミュニケーションを行うことができます。
また、機能の一つである釘盤(DingTalkの中のクラウドストレージサービス)によって、大量のデータの保存も可能です。セキュリティ面などを考慮してSynologyやテンセント社のファイルバックアップ機能を組み合わせて使用する中小企業もあります。
(出典:https://k2partnering.com/zh-hans/technology-zh-hans/how-to-be-successful-as-a-remote-worker/)
インターネットを利用した会議や社内コミュニケーション用のツールとしては、日本やアメリカでよく使われているSkype、NET-SWIFT社のWebex、テンセント社のテンセントミーティングなどがあります。また、最近開発されたHUAWEIのクラウドサービスWelinkはカレンダー、クラウドストレージ、勤務管理、メールの送受信などの機能も付いており、日本の中小企業にとって選択肢の一つになるかもしれません。
日本企業が多く利用しているSlackをGmailのファイル共有Boxと組み合わせて使用すれば、多くの業務に対応させることができます。個人的には釘釘のような豊富な機能を持つソフトウェアがおすすめですが、Gmailの操作に慣れている企業では、釘釘の多くの機能を使いこなすにはかなり時間がかかるかもしれません。
テレワークは時代の流れであり、企業は現在の体制と並行しつつテレワーク導入を進めていくべきだと、私は考えます。
テレワークの導入は、企業の現状を否定するものではありません。
現状を客観的に見つめ、未来の可能性を受け入れることなのです。
(出典:https://www.peoplemattersglobal.com/news/employee-relations/tokyo-companies-may-allow-telework-for-olympics-24494)