2019年12月31日に世界保健機関(WHO)に報告されて以来、現在は日本でも連日報道のメインになっている新型コロナウィルス。
沈静化にはまだ希望的な観測しかありませんが、各自自衛策を講じて、安心安全な日常生活が破綻しないよう努力が必要ですね。
当然、この世界的な災害は、医療機関だけではなく、国内の様々な企業の業績にも影を落としています。
資材・部品調達・観光・小売などは、特に影響が大きい産業分野です。
訪日外客の動向で見ると、主要国でいえば、韓国からの訪日外客数が大幅な減少が2019年7月以降続いているものの、東南アジア各国からの前年比数十パーセントの大幅増などに支えられて、2019年は訪日外客数が過去最高の3188万人を記録しました。尚、日本人の出国者数も1895万人強と、過去最高を記録しました。
そんな中、中国武漢において、新型コロナウィルスが発生し、2020年が明けたわけです。
公的なデータとして最新の訪日外客数をうかがい知れるのは、JNTOの訪日外客数月次推計値2020年1月です。
訪日外客総数は、2019年1月2,689,339人に対して、2020年1月2,661,000人と1.1%の減少となっています。
意外と減ってないなというのが率直な感想でしょう。
思い返すと、日本で新型コロナウィルスが脅威であると局面が変わって報道され始めたのは、2020年1月20日頃。中国では春節休暇に入った、まさにそのあたりの時点でした。春節休暇がほぼ平常通りの過ごし方であったことで、中国からの訪日外客数は、924,800人、前年同月比22.6%の増加を記録しています。
余談ですが、春節休暇だけではなく、毎週末中国人で賑わうマカオのカジノですが、しっかりと春節休暇中は営業し、2月に入ってからひっそりと営業を停止するという有様でした。もちろん、春節期間中も大盛況でした。引っ張るだけ引っ張りましたね。褒められたことでは無い気がしますが…
つまり、インバウンド経済的に言えば、『中国春節商戦と新型コロナウィルスは関係が無い』と結論づけられます。
実際、東京証券取引所やNYダウなどの国際的な株式市場は、1月31日に直近での底値を付けた以降、冷静で堅調な推移をしており、おそらく世界的には短期沈静化、あるいは、需要と供給経路の単純なシフトによる企業活動の正常化が短期的に可能、というシナリオを読んでいると思われます。
様々なエコノミストのコメントを総じて言えば、現在の経済見通しは『2020年3月には沈静化の道筋が見えてほぼ終息する』ということに基づいています。
新型コロナウィルスが、他のウィルスと同様に、湿度の上昇で沈静化(環境省『気象と感染症流行の相関に関する研究第二報』より)するということを考えれば、妥当な読みだと思います。
話が大きくなってしまいましたが、訪日ビジネスの展望としては、観光客への依存度が高い業種において、2020年3月まではやや厳しい展開が続くのはほぼ確定ですが、そこから先についても厳しいとは言い切れませんので、焦って投資や業態変更を行うと、さらに難しい展開になってしまうかもしれませんので、大胆な方策は準備だけに留め、今を乗り切る方向性を採ることをお勧めします。
もし、大胆な方策を講じるのであれば、むしろ、越境ECなどインターネット活用は、理に適っているでしょう。