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カード先進国・韓国 ~カード決済普及には大きな理由があった~

前回のコラム「国が違えば決済事情も違う!~越境ECと中国のオンライン決済アリペイ(支付宝)についてちょっとご紹介~」では、中国のオンライン決済についてご紹介しましたが、今回は、先日まで冬季オリンピックが行われていた韓国について調べてみることにしました。

韓国がカード先進国であるというのは、なんとなくご存知の方も多いと思います。
私は5年前に一度だけ旅行に行きましたが、デパートや免税店ではサインは紙にではなく電子パネルが使われていたり、露店のような小さなお店でもクレジットカード支払いが可能であったり、随分と日本よりも進んでいるなと驚いたものです。

 

カード決済比率はなんと72%超

韓国では、クレジットカードの利用率が72.3%(2015年統計、2017年発表)と、かなりの割合を占めています。デビットカードやEマネー(プリペイドカード)なども合わせると、現金以外での決済が90%にも上ります。
一方、日本はクレジットカード利用率16.6%、デビットカード・Eマネーなどを合わせても18.8%です。カード大国といわれるアメリカでもクレジットカードでの決済率は25.1%であることを考えると、韓国のキャッシュレス決済の浸透率の高さは段違いであることがよく分かります。

そこでこの大きすぎる違いは何なんだろうと調べてみました。
すると、韓国政府が、国民の消費の喚起や脱税防止対策として、クレジットカードの利用を促進するために以下のような方策をとっていたことが見えてきました。

その1 : 所得控除
クレジットカード使用金額が年間給与所得の10%を超える場合、超過額の10%が課税所得から控除される措置です。 つまり、カードを使えば税金が安くなりお得という訳です。

その2 : 宝くじ
もう一つは、宝くじ制度です。クレジットカード利用控えに付けられた番号を対象にして、毎月1回で年間12回、賞金が当たる抽選が実施される制度です。 抽選会の模様はテレビで放映され大変な盛り上がりを見せるそうです。

 

このような大胆なやり方は日本では考えられませんが、効果は抜群で、韓国のクレジットカードの利用率は、世界でもトップクラスになりました。しかし良い面だけでなくカード利用の急伸で多重債務者が激増したり自己破産件数も増えて社会問題になっているようです。なんでもやり過ぎは良くないようですね。ですが現金よりもクレジットカード派の私からすると、とっても羨ましい方策だなと感じたのも事実です。

今回はちょっとWebの話と逸れてしまいましたが、多言語化・グローバル化を進んでいく時代ですから、少なくとも近隣国の経済事情を理解しておかなければと気を引き締めた次第でございます。

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