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訪日ビジネスを考える 訪日タイ人を知る (1) ~ 他の国とはちょっと違うタイ人の旅行目的

中国・韓国・台湾・香港・アメリカに次いで、国籍別訪日外客数第6位のタイ。今年はついに年間訪日100万人を突破する勢いです。前年比16.3%と、タイより上位の国と地域よりも高い伸び率を示しています。ですが、その割には町中でタイ人を見かけないような気がします(と言いますか、タイ人と見分けられていないのかもしれません)し、お店のメニューやPOPでたまに中国語を見かけることはあっても、タイ語を目にすることはほとんどありません。今回は、知っていて損がない、訪日タイ人について触れたいと思います。

まず、基本的なところから。
人口約6,910万人(公式には約6,000万人としている模様ですが)、正式名称が、実は超長いことで有名な首都バンコクには830万人が在住し、公用語はタイ語で、人口の94%が仏教(日本と異なる上座部仏教)を信仰しています。
タイ太陽暦という独自の暦を公式としており、そのため、タイ正月(ソンクラーン)はグレゴリオ暦の4月中旬になります。ソンクラーンを含む約1ヶ月間は学校等の長期休暇になります。
1人あたりの実質GDPは、日本円で約75万円(ASEAN加盟国内で第4位)、1世帯あたりの可処分所得は平均約60万円/年、失業率は約0.7%と低く良好、経済成長率年4%、バーツの価値は、やや安定していると言える状況です。
国際旅行における支出合計は、約1,000億円/年(国際旅行収入はこの6倍で観光大国です)、タイ人の海外旅行先上位は、ラオス・マレーシア・ミャンマー・日本で、日本への同行者は家族と答える方が約半数です。

タイ人の訪日客が増えたのは、2013年から。
理由として大きいのは、 観光ビザ発給要件の緩和と、バンコクからの直行瓶が増えたことが挙げられ、特に新千歳空港には、タイ航空とエア・アジアが直行瓶を就航している(現在は1日各1便)ことで、北海道へ行くタイ人が増加しました。
そもそも、ニーズがなければ航空路線は就航しませんので、就航したから増えたと言うよりは、元々ニーズがある程度あったと言えるのですが、その観光資源は「雪」です。
日本の雪に魅了されているのは、タイの他、マレーシアと豪州が挙げられ、他の国々と全く異なった旅程や旅行目的が見受けられます。


出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」2017年データより抜粋


ご覧の通り、タイ人の方々は、旅行中に「スキー・スノーボード」をしている方が、他の国に比べて圧倒的に高く(主要な訪日外客数上位国では、この数値が10%を超えているのは豪州とタイだけ)、次回スキー・スノーボードをしたいと答えた方もかなり高い割合を示しています。
尚、北海道に宿泊する方が、東京都に次いで第2位(訪日タイ人の15.4%)と特徴的な数値になっています(マレーシアは宿泊地として北海道が第1位で、訪日マレーシア人の24.2%)。2013年には、北海道の歌登という、恐縮ながら日本人でも(北海道の方でも。。。)なじみの浅い場所が、訪日タイ人の人気都市ということで話題にもなりました。
また、四季の体感や温泉入浴といった、北海道と親和性が高そうな旅行目的も、次回の期待値を挙げています。

ちなみに今は、コンサドーレ札幌というJリーグのチームに、タイ代表チャナティップ選手が所属していることも、北海道の知名度を上げています。
余談ですが、今、タイではサッカーが圧倒的な人気スポーツ(2位バドミントン、3位レスリング)です。人気の裏付けとして、タイのサッカープロリーグの放映権料ですが、なんと70億円超。トップリーグであるタイ・リーグ1のメインスポンサーはトヨタ(現地法人)ですから、疑う余地はないでしょう。

やはり、母国に雪が降らない(=生まれてこの方見たことがない)ということは、国籍関係なく、旅行の大きな理由になりますね。
次回は、もう少し具体的なタイ人にとって新鮮に写るものについてまとめたいと思います。お楽しみに。

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