CJコラム

訪日ビジネスを考える ~今、そして、今後伸びるターゲットは? (1)~

アメリカ、中国、台湾と訪日外客について、その性質や実態について述べて参りましたが、今回は視野を一度広げて、訪日外客の上位常連国以外も含め、どういった国、どういった人が今、そして、今後の訪日客のターゲットになるのかについて予測をしたいと思います。

まずは、日本在住の友人や親族などから情報を得て、また、そこを頼って来るという方が、訪日外客の約10%います。このうち、韓国、中国、台湾、香港の訪日外客数上位4カ国と地域は10%未満です。つまり、これら以外の国だけ見ると、20%以上の方が、在留外国人を手がかりに訪日するということです。

ということで、国別に在留外国人数をグラフにすると以下の様になります。

出典:法務省入国管理局「平成29年末現在における在留外国人数について」

中国、韓国といった訪日外客もトップの国がやはり多いですが、続いているのは、ベトナム、フィリピン、ブラジル、ネパールといった国です。とはいえ、このグラフに特に驚きはないでしょう。
平成29年(2017年)末の統計データですが、これを、2016年末と比較すると以下の様になります。

出典:法務省入国管理局「平成29年末現在における在留外国人数について」

ベトナム、ネパール、インドネシアが、伸び率TOP3となりました。
本テーマに合致する切り口かどうかというと、訪日外客数、インドネシアが11位の約35万人、ベトナムも13位の約31万人と多く、共に2016年比で2017年は30%以上の増加となっています。

どうでしょう。これは今後も増えていきそうですよね?・・・「ネパールは?」ですか?
ネパールは、訪日外客数が少なく、公的なデータがありませんでしたが、推計で約5,000人、伸び率10%程度と見られています。何故少ないかと言えば、平均年収が低いことに加えて、ビザの問題があります。

日本が2017年7月時点で、短期滞在においてビザ免除しているのは、68の国と地域に対してです。アジアではインドネシア、シンガポール、タイ、マレーシア、ブルネイ、韓国、台湾、香港、マカオのわずか9つの国と地域です。

ということで、ネパールから日本へ来るにはハードルが一つあるからと言えますね。ビザを取ること自体、皆さんあまり経験が無いかもしれませんが、ひとえにビザを取るというのは、大変なことです。もちろん、国毎に異なります。
ネパール人が日本へ渡航する際に必要な短期滞在ビザの取得ハードルは、思いのほか高いです。
ある一定の年収(目安として300万円以上)と預貯金が100万円程度ある、日本在住の招聘人(身元保証人)がいて、その招聘人の全部記載住民票、招聘人と渡航する方が友人や親族といった親しい間柄であることが証明できる物、滞在中の予定表などが求められます。

・・・あわせてみると、ベトナムもビザ免除国ではないのですが、それでも驚異的な数字ですね。ただし、ベトナム人が同様に短期滞在ビザを取る条件は、ネパール人に比べると大分簡単です。
とはいえ、ベトナム人のように、ビザを申請してまで日本に観光に来る国というのは、よほどのモチベーションがあるといえますので、これらの国々を注視したりすると、ビジネスに結びつきやすいと言えるでしょう。

別の機会にまた、同じテーマ、違う切り口で考察をしてみたいと思います。お楽しみに。

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