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訪日ビジネスを考える 訪日アメリカ人を知る (2) ~キーワードは好奇心~

訪日ビジネスを考える 訪日アメリカ人を知る ()~アメリカ人は日本を知らない~にて、「訪日アメリカ人は、日本のことをよく知らない」と書きましたが、訪日時に期待することとして、和食、日本酒、神社仏閣、アニメ、ファッション、高層ビル群、歓楽街、富士山など、様々な日本に行ってみたい理由が挙がってきます。しかし、冷静に考えれば、品質差はともかく、ほとんどはアメリカにもあるものです。(富士山や厳島神社など固有名詞のものはもちろん日本にしかありませんが。)

では、何故わざわざ日本まで来るのでしょうか?

突然ですが、国土交通省国土地理院の調査によると、日本は378,000平方キロの国土で、その27%が可住地面積だそうです。一方、アメリカは9,834,000平方キロの国土で、その75%が可住地面積です。アメリカの可住地面積は、日本の72倍という数値になります。さらに、アメリカの対日本人口比は、約2.5倍ですから、可住地人口密度を単純計算すると、日本は、アメリカの180倍にもなります。数字で見ると息が詰まりそうですね。

一体何が言いたいのかといいますと、「日本の魅力は、集住によって生まれるミックスカルチャー。」だということです。さしずめ、ニューヨークでいえばウォール街の向かいにハーレムとブロードウェイがあるのが日本の都市で、それら異質なものが混ざり合って共存している人と風景は、日本がおそらく世界最大規模でしょう。これらの異質な街の衝突地点が、多様などこにも無い文化を生み出しています。

何やら文化論的なテイストになってしまいましたが(論と言えないほど薄くてすみませんが)話を戻すと、アメリカ人の興味は「自分の好奇心を満たすもの」に向けられおり、それを満たす背景が日本にはふんだんに存在するということです。言い換えれば、様々な商品サービスが、訪日アメリカ人にとって流行や定番になる可能性があります。

尚、勘違いしてはいけないのは、あくまでも、自分の好奇心なので、自身の知識の範囲内で日本アレンジが利いたものに興味があるのであって、全く見たことのないものには、興味よりも回避本能が勝ちます。(和食が好きといっても、結局肉料理だったりするのはそういうことです。)

ということは、アメリカ人に対しては、彼らが目にする奇妙なものの一端を解説、体験させ、なるほど!と思わせてからでないと、財布のひもは緩まないということです。

さて、皆さんは、お手持ちの商品サービスに関して、アメリカ人にどう説明したら理解してもらえるかを知っていて、それを正しく伝え、コミュニケーションできる準備はできていますでしょうか。単に英語が堪能なだけでは不十分です。なぜなら、アメリカ人はあなたが売り込んだものに対して、基本的な知識が無いため、適切な質問ができていないのかもしれません。そうなると、あなたが質問に完璧に答えたとしても、アメリカ人は理解できていないといった状況も生まれてしまいます。

2015年になって、ようやくアメリカ人は「成田空港は千葉県にある」ということを知ったレベルです。売り込もうとしている商品サービスが、どの程度アメリカ人に理解されているのかといった調査は、非常に重要となります。

 

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