CJコラム

訪日ビジネスを考える 訪日アメリカ人を知る (3) ~鍵は好奇心~

アメリカの年間外国旅行者数は、年間約7345万人。内、日本に訪れる方はそのわずか1.4%です。
旅行消費額としても、年間1147億ドルの内、日本に対して消費されるのは、その1.2%となっています。(いずれも国連世界観光機関発表の2015年度数値から試算)
こうしてみると、日本旅行はアメリカ人にとってメジャーな選択肢とは言えませんが、それでも、日本はアメリカ人の海外訪問先16位に位置しており、アジア圏では、中国、インドに続いて3番手、ここ数年の伸び率ではアジア圏で1位になっており、旅行先として想起、検討される順位は上がっているといえるでしょう。

では、何に惹かれてアメリカ人は日本に観光旅行に来ているのでしょうか。


訪日アメリカ人観光客は、20代の男性が最も多く、全体の2割以上を占めています。
男女比は全体で6:4。20代男女で全体の3分の1以上、20代30代で全体の6割を占めます。尚、“おひとりさま”も少なくなく、3割程度います。若い人にとって魅力的な旅行先と映っているようで、さらに自分の趣味や趣向を邪魔されること無く堪能したいという意向もあると見られるでしょう。

世代や性別に共通して、日本に来て期待していることの第一位は、圧倒的に「日本食を食べる」ことです。
さぞや刺身や郷土料理など、純日本的な食事を堪能するのだろうと思いきや・・・

出典:観光庁 訪日外国人消費動向調査平成29年7-9月期より

 

結局は、アメリカ人の舌に合うかどうかで選んでいますね。日本の伝統的点や、日本独特なことを求めている方は、非常に少数なようです。
余談ですが、私自身、そば屋で隣に座っていた欧米人が、「味がしないし、足りないからハンバーガー食べに行こうぜ」といって、ざるそばを半分残し、そばつゆを飲み干して店を出て行ったシーンに何度か遭遇していますし、欧米からの訪日外国人と食事をする際、せっかくだから和食をと気を利かせても、『生の魚は駄目』『普段見慣れない肉は食べない』『そもそも魚は苦手』というリクエストを受けることの方が多いです。どうでもいいですが、鳥の唐揚げは人気No.1の鉄板です。
訪日ビジネスを考える 訪日アメリカ人を知る(2)で触れたとおり、そのアメリカ人自身が知っている範囲内で楽しむという域を出ません。

では、次点で人気があると言われているショッピングや日本文化体験はどうでしょう?
出典:観光庁 訪日外国人消費動向調査平成29年7-9月期より

 

期待(5割)を超えた満足度(9割以上)という素晴らしい評価ですね。しかも、訪日前に期待していた方よりも今回した方が2割程度多いということは、現地で見かけて思わず財布のひもを緩めたという、予定外支出をした方も少なくないということを示しています。気になるのは、次回したいという方が感覚的に少ない気がします。一度経験したらもういいかなという意見も無視できないということでしょうか。
満足度からくる再訪意向はほぼ100%ですし、実際2回目以降の訪日というアメリカ人も増えていますので、日本に来た上で、次もここに来たいと思わせる企画やリレーションは、今後の課題なのかもしれません。

アメリカ人にとって、訪日前に日本の情報を得ることは、現状それほど難しくありません。特に、アメリカ人は、旅行手配を全て自分で組み上げる方が大半で、Webサイトを主要な情報源としています。予約に至っては、8割がWebサイトから行っていると答えています。
予定に組み込んでもらい、再訪日時にまた来てもらうために、国境を越えたWebサイトの活用は、訪日アメリカ人をつかむ上で最も重要であるといえます。

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