これまで(私、O.M プロデューサー執筆分)、海外向けの販促資材制作について企画からデザイン、データ作成などの留意点についてお話をしてきましたが、今回はいよいよ、販促資材を海外現地で印刷する時の注意点のあれこれをご紹介します。
デザインだけでなく印刷工程でも海外との違いが・・・。
これまでにも、海外向けの資材のデザイン制作での日本国内と海外との違いを紹介してきました。
例えば、「海外向けのデータには2バイト文字を使用しない。」「印刷用紙のサイズをあらかじめ確認する。」などがありました。
印刷工程でも同様です。解り易い事例の一つとして、印刷範囲を設定する「トンボ」の記号は日本では大抵、コーナートンボは二重になっていますが、アメリカをはじめとする諸外国では、しばしば一重のものが使われています。いわゆる内トンボだけで、外トンボがない状態です。この様な事象が多々、印刷工程でも存在します。
ここまでは自分の目が届いていたけど。
デザイン段階の販促資材制作作業については、日本国内で作業をしています。なので、デザイナーの制作作業状況時ついては、何らかの形でリアルタイムでの確認ができました。しかし海外現地での印刷工程では、作業がどの様に進行しているかを確実に確認する事は困難です。また海外印刷工場での仕上がりを直接確認することも難しいです。実際に印刷され納品されたものを見て、デザインデータ上で確認していたものと大きく違ってしまった。と言った事が起きてしまう事もあります。こうした印刷時のリスクを回避するには、どの様な入稿方法があるのでしょうか?
海外での印刷用送稿データは可能ならばPDF/Xデータで。
通常のillustratorデータやInDesignデータによる入稿データの海外送稿時のトラブルを避ける方法の一つとして、印刷用送稿データをPDF/X形式にして送稿する方法があります。
PDF/X形式とは、国際標準化機構(ISO15930)で定義された標準PDFの事で「文字フォントや画像を完全にデータ上に埋め込む」と言った一定の仕様をクリアすれば、印刷時に安定した出力(=印刷)が可能なPDFデータです。
特にPDF/X-1aは、基本的にCMYKカラーだけですので、色の変化が発生しづらいデータとなっています。また国際標準のPDFデータなので海外現地の印刷でも、事前に確認した通りの状態で仕上げる事が可能です。全ての制作物の印刷をPDF/X形式で行うのは、可能ではありませんが、従来に比べて海外での印刷時の事故を回避する確実性の高い印刷手法の一つです。海外に印刷用のデータを送稿する際には、PDF/X形式で行う事も選択肢のひとつとして考慮してみてはいかがでしょうか?