迫り来る2つのインターネットの時代~今後の異文化間コミュニケーション~
インターネットがまだひとつしかなかった頃、それは政治、文化、言語の壁を越えて人々をつなぐことで、世界を結びつける役目を果たしました。しかし、最近では米国を本拠とするインターネット巨大企業のグーグル、アップル、アマゾンがインターネット上で余りにも大きな力を持ちすぎているという懸念が広がっています。とくに、中国やロシアなど経済的利益や文化的視点が米国としばしば相反する国では明らかです。
中国はすでに、フェイスブックやグーグルなど多くの米国を本拠とするインターネットのプラットフォームを国内で禁止しています。
そして、中国が国内のインターネットを支配するのもおそらく時間の問題でしょう。
インターネットが二つに分裂するという考え方-ひとつは米国主導、もう一方は中国主導に-は先ごろ、グーグルの前CEOエリック・シュミット氏がその可能性を認めたことで有力な見方となっています。
異文化間コミュニケーションの意味において、これは何を示唆するのでしょうか。
西洋社会は、現在のインターネットは自由や開放などの民主的な原則に則っているが、中国版のインターネットは検閲や監視などの権威主義的な原則に基づくものだ、と世界を信じさせようとするでしょう。一方で中国は、インターネット上で安全性と調和をもっと重視する必要があると主張するかもしれません。政治の安定を脅かす内容は国民にとって最良の利益ではないと言うのです。
こうした議論は、すでに西洋人と東洋人との間の異文化コミュニケーションに影響を及ぼしている文化の違いを反映しています。
おそらく両者のアプローチは極端な方向に向きがちで、ちょうどいいバランスをとることは大変なことなのです。
人々の物の見方はインターネットで見たり読んだりするものに大いに影響されるので、二つの別々のインターネットの台頭は、西洋人と東洋人の文化的、コミュニケーション上の溝を一層深めることになるかもしれないのです。
バイドゥ、アリババ、テンセントなどの中国のインターネット巨大企業は米国の同業者にじわじわと追いつきつつあります。
したがって中国のインターネットはついには米国のものに匹敵し、さらに追い越すようになり、近隣諸国だけでなくBRICSや上海協力機構の加盟国、またアジア、ヨーロッパ、アフリカ、中東地域にある新シルクロード沿いの国々の好ましい選択肢になるかもしれないのです。
誰も未来を予知することはできないので、2つのインターネットの台頭という考えは可能性のある多くのシナリオのひとつに過ぎません。
しかし、この先何が起ころうとも、お互いの理解を深めて異文化間コミュニケーションをもっと良くしていくようみんなで努力すれば、私たちの未来は明るいものとなるはずです。