翻訳会社アレこれ~Vol.18見積り単価の成り立ちその②~
先日のコラムで翻訳の単価の設定については、大きく二つ、
① 原稿量から算出する日本語1文字=○円という方式
② 翻訳の仕上がりで換算する000W/枚=○円とう方式
があると言いましたが、さて、それぞれの特徴は?どう違いがあるのか見ていきましょう。
前者の①は最近の翻訳会社、設立10~15年くらいの会社が採用している傾向があるようで、何社からか見積もりを取ると、ほぼ1文字=○円で算出して来ます。日本語からの翻訳が可能な有能な外国人翻訳者が多く登録しているので、1文字いくらの支払いも成立するのでしょう。依頼する側からすると、わかりやすい算出基準で明朗な印象で、他社との価格の比較もしやすいので近年の価格競争にも対応力のある会社と言えるでしょう。
ですが、この1文字=○円というのは原稿の内容によって容易に変動します。
担当コーディネーターの裁量で、これは「難易度が高い」と判断されると、たとえば1文字=15円から一気に30円、40円と引きあがる場合があります。仮に原稿量が400字として15円だと6000円が30円だと12000円、40円だと16000円にと、最小単価が一文字だから、最終価格にすると大きく差が出てきます。仕向けの言語が何語かによっても単価は違いますが、原稿が英語からとなると、日本語からより高い単価設定となります。
後者の②は設立から25年以上、バブルの崩壊後もしぶとく生き残っただけあってそれなりの実績を持つベテラン翻訳会社に多く見られますが、翻訳者の多くが昔からの出来高払いを主張する外国人パートナーということもあり、仕上がりW/枚の○円の換算になるのだと思われます。この場合1枚のワード数の設定が一般に200Wとするかそれ以下とするかで変わってくるのですが、200W未満で設定する会社は、翻訳というより広告的なライティングを主力商品とする会社とみてよいでしょう。
また、仕上がり換算だと、どうしても事前見積もりと納品時の仕上がりに多少の差異が出たりしますが、会社によっては再見積もりをしないところも多いので、ボリュームのあるものだったら仕上がりワード数を確認して交渉すると案外安くなることもあるかも知れません。単価は①のような大きな変動はありませんが、一方で欧州の言語などは特徴として英語よりも仕上がりが1.3倍以上に増えるため枚数(予算)が増えてしまいますが、逆に①だと原稿量からの換算なので、変動の心配はありません。
以上、簡単ですが単価設定の違いとそれぞれの特徴について述べてみましたが、参考になりましたでしょうか。
次回は外資の翻訳会社の価格設定について、その一例を紹介したいと思います。お楽しみに。