世界に響く英語Webサイト構築術|第3回 検索されなければ始まらない:グローバルSEO戦略の鉄則
目次
- はじめに:ローカライズされたSEOの必要性
- 英語圏の検索意図を読む:キーワード設計の違い
- グローバル検索エンジン事情を知る
- 検索されるコンテンツとは?:ローカライズとオリジナリティ
- hreflangタグの正しい実装で多言語対応を強化
- まとめ:検索されるから、伝わる
- はじめに:ローカライズされたSEOの必要性
いくら見た目が美しく、情報が充実しているサイトでも、検索されなければ存在しないのと同じ──それがグローバルWebの現実です。
日本語のWebサイトを英語に翻訳しただけで、「よし、これで海外にも見てもらえる!」と思っていませんか? 実は、その考え方こそがグローバルSEO失敗の第一歩なのです。
SEO(検索エンジン最適化)は、文化と言語、そしてユーザー行動に合わせてローカライズされて初めて効果を発揮します。本稿では、英語圏向けサイトで成果を上げるための「戦略的SEO思考」を掘り下げていきます。
- 英語圏の検索意図を読む:キーワード設計の違い
日本語のキーワードを英訳しても、現地ユーザーが実際に使っている検索語句とは一致しないことが多々あります。たとえば:
- 日本語:「健康食品」→ 直訳:"health food"
→ 英語圏では「supplements(サプリメント)」や「wellness products」の方が自然 - 日本語:「業務用エアコン」→ 直訳:"business-use air conditioner"
→ 実際の検索語:"commercial HVAC" や "industrial AC"
このように、検索語句=文化的な習慣や業界用語の反映であることを理解する必要があります。
対策ポイント:
- Google Keyword PlannerやSEMrush、Ahrefsなどを使って「現地の検索ボリューム」を確認
- ロングテールキーワード(例:"best energy-saving air conditioner UK")を活用
- “Search Intent(検索意図)“を分析し、情報収集型・購入検討型などに応じたページを用意
🔍 補足:英語圏では「質問形式の検索」が多く、"how to…" や "what is…" が強力なキーワードとなるケースも。
- グローバル検索エンジン事情を知る
SEOといえばGoogleが圧倒的な存在ですが、国によっては別の検索エンジンが主流のケースもあります。
国・地域 |
検索エンジン |
補足 |
中国 |
Baidu |
検閲・独自アルゴリズムあり |
ロシア |
Yandex |
Cyrillic対応が強み |
韓国 |
Naver |
ポータル型でブログ・QAが強い |
日本 |
Yahoo! JAPAN |
実質Googleと同じアルゴリズム |
ただし、米国・英国・オーストラリア・カナダなどの英語圏では、Google最適化を軸に据えて問題ありません。
重要なのは、「現地で支配的なエンジン」を把握した上で、検索アルゴリズムの特性に適応した戦略を立てることです。
- 検索されるコンテンツとは?:ローカライズとオリジナリティ
検索順位は単なる「単語の有無」だけでなく、コンテンツの質・専門性・現地との関連性が重要視されます。
よくある失敗例:
- 機械翻訳しただけのブログ記事
- 現地ユーザーが全く共感できない文脈(例:四季やお中元の話題)
- 英語に直しただけの日本的ページ構成(例:「ごあいさつ」「沿革」など)
対策:
- 現地のニーズを調査:Q&Aサイト(Quora、Reddit)、競合サイトのトピックを参考に
- “E-E-A-T(Experience, Expertise, Authoritativeness, Trustworthiness)”に沿ったコンテンツ設計
- 見出し・リード文・FAQなども検索意図に合わせる
例:「海外向けに盆栽を売りたい場合」
日本的解説:「盆栽は自然と一体となる心を…」
海外向けコンテンツ:「How to start bonsai for beginners | 5 easiest trees」
言い換えれば、“読まれる英語”ではなく、“検索される英語”を意識することが鍵です。
- hreflangタグの正しい実装で多言語対応を強化
もしもあなたのサイトが、日本語と英語、あるいは米国英語・英国英語など複数の言語や地域バージョンを持っているなら、SEOにおいて欠かせないのが「hreflangタグ」です。
hreflangとは?
Googleに対して「このページはこの言語・地域向けですよ」と知らせるタグ。これにより、検索結果においてユーザーの言語や位置に応じた適切なページが表示されるようになります。
例:
<link rel="alternate" hreflang="en-us" href="https://example.com/us" />
<link rel="alternate" hreflang="en-gb" href="https://example.com/uk" />
<link rel="alternate" hreflang="ja" href="https://example.com/jp" />
このタグがないとどうなるか? → 同じような内容の多言語ページが「重複コンテンツ」として評価が下がるリスクがあります。
実装時の注意:
- ページごとに正確なURLと対応関係を指定
- “自己参照(自ページのhreflangも含める)”が必須
- サイトマップでも指定可能(大規模サイトでは推奨)
- まとめ:検索されるから、伝わる
グローバル市場に向けて英語サイトを展開するなら、「検索される」ための設計は必須条件です。
- 単なる英訳ではなく、「英語圏で実際に使われる検索語」を調査・選定する
- 検索意図に合ったページ構成とコンテンツを用意する
- 国・地域に応じた検索エンジン最適化を行う
- 多言語展開時にはhreflangの正しい実装を忘れずに
いくら良い製品やサービスでも、ユーザーが検索しても見つからなければ、存在していないのと同じです。
グローバルSEOとは、「文化の視点をもって、検索される言葉で語る」こと。
それが、あなたのWebサイトが世界とつながる最初の一歩になるのです。
次回は【第4回】
「海外ユーザーを逃さない:グローバル高速化戦略」をお届けします。
サーバー配置・CDN活用・モバイル表示速度など、見えないけれど結果に直結する技術的な工夫を、わかりやすく解説していきます!