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コラム

インタラクティブ・マルチメディア・オーサリグソフトウェアの歴史と進化

 1978年 ここから歴史が始まる・・・「アスペン・ムービー・マップ」

  

左: 「アスペン・ムービー・マップ」ビデオツアー
中:Google Mapを思わせる画像撮影風景
右:タッチパネル操作

世界で初めてインタラクティブ・マルチメディアが紹介されたのは、1978年に発表されたマサチューセッツ工科大学(MIT)が開発したコロラド州アスペンのビデオツアー「アスペン・ムービー・マップ」である。今日のスタンダードと比べると極めて初歩的なものではあったが、ランダムアクセス可能なレーザーディスクとシンプルなタッチパネルGUIを搭載し、ユーザーはバーチャルに街中をドライブできた。当時は、極めて革命的だと評価された。

1985年 黎明期を支えたDirector

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 左:Macromedia Director と VideoWorks II
右:Director MX 2004 インターフェイス

次に登場したのが、1985年に発表されたMacroMind社によるVideoWorksである。一般でも入手可能なアニメーションのソフトウェアパッケージで、ユーザーはインタラクティブ・ビデオツアーやアニメーション等をPC上で作成することができた。1987年にMacromedia Directorと改名され、インタラクティブ・マルチメディア・オーサリングツールとして不動の地位を築き、CD-ROMやマルチメディア・キオスク等で使用するゲーム、教育タイトル、シミュレーションやデモの制作等、幅広く活用された。

ユーザーは映画を製作するように、タイムラインやキーフレームアニメーションを使って、コンテンツを「ステージ」上でオーサリングした。様々な静止画、動画、音声を取り込み、操作したり、何もない所から映像を作り出したり、動きとインタラクティビティを加えるために、パワフルなマクロ言語”Lingo”を適用することもできた。

90年代半ば〜後半には、Director がネット上のマルチメディアコンテンツ制作を支配するかのように見えた。しかし、ビットマップファイルの容量の大きさが立ちはだかった。当時、MacromediaはソリューションとしてShockwave(1995年リリース・ブラウザ用プラグイン)を打ち出したが、ファイルを十分に圧縮することができず、ネット上で拡散することはなかった。

1996年 15年にわたり支持を集めたFlash

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左:FutureSplash
中:Macromedia Flash
右:Adobe Flash Professional CS6

ベクトルを使用した描画・アニメーションのパッケージであるFutureSplashは、1996年にリリースされた。その時Macromediaは、その可能性(FutureSplashはDirectorよりも大幅に小さいファイルを作成することが可能)を誰よりもよく理解し、素早くその製作会社を買収して、Directorのベクトルバージョン、Flashを生み出した。

PCでオンラインのインタラクティブ・マルチメディアコンテンツをオーサリングしたり再生したりできるFlashとFlashプレイヤーは、瞬く間に動画作成ソフトとして優勢を誇るようになった。その確固たる地位は数年に渡り続き、その間、MacromediaはAdobeによって買収された。
そして歴史は繰り返す。

スマートフォンとタブレットの登場により、消費電力の多いFlashコンテンツはユーザーにとっても開発者にとっても、問題を抱えるようになった。2010年にスティーブ・ジョブスがFlashを強く批判したことにより問題視する動きは加速化し、過去のMac対Windowsを思わせる、Flash 対 HTML5の苦い戦争が勃発した。
Adobeは信頼性の高いFlash-to-HTML5コンバータやその他のソリューションでこの問題を解決しようと努力したが、次第に、よりモバイル環境に適したFlashに取って代わるものがあり得る、と結論づけた。

2012年 新時代を作るAdobe Edge Tools & Services

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 左:AdobeによるEdge suiteの発表
中:クロスデバイスのコンテンツ
右:Adobe Edge Tools & Services

マルチメディアとウェブサイトオーサリングツールにおけるこれまでの膨大な経験を活かし、Adobeはモバイル環境に適した、Flashに取って代わる新たなる選択肢、Adobe Edge Tools & Servicesを開発した。Adobe Edge Tools & Servicesは、HTML5、JavaScript、CSSのようなネイティブのウェブコンテンツに直接作用し、HTML5対応のブラウザーで、ファイル変換、圧縮または如何なるプラグインも必要とせず、オーサリングされたコンテンツのダイレクト再生を可能にした。

Adobe Edge Tools & Servicesは2012年9月にリリースされ、アニメーションのためのAdobe Edge Animate、端末プレビューやデバッギングのEdge Inspect、CSSやJavaScriptを編集するためのEdge Code、500を超える無料Edge Web Fonts、Webにも安心して使える膨大なTypeKitライブラリ、さらにモバイルアプリをより簡単に構築できるPhoneGap Buildを含んでいる。レスポンシブデザインのためのEdge Reflowもリリースと同時に同梱される予定である。

Adobe Edge Tools & Services が、先代のDirectorやFlashのような大物になり得るのかどうか、時間が経てば自ずと判明するだろう。しかしながら、急速に普及するスマートフォンやタブレットといったデバイスのことを考えれば、Adobe Edge Tools & Servicesのコンテンツ制作に対するそのネイティブアプローチは、ウェブ上のアニメーション構築方法をこれまで以上に変貌させると期待するのも無理はないだろう。

 

英文と和文は厳密な対訳になっておりません。
Japanese articles may not fully reflect English content.

 

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