「売れる」ブランドサイトへ
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Natural Beauty Basic スペシャルサイト
NBB × JUN HASEGAWA
http://11ss.naturalbeautybasic.com/
このサイトは、ファッションブランド「Natural Beauty Basic」で長谷川潤をモデル起用した、 Spring & Summer(SS) コレクションのスペシャルサイト。
おしゃれな室内で、人気モデルがSSコレクションのコーディネート例を同時に多数見せ、その商品を購入できるECサイトへリンクしているシンプルな構造だが、「この掲載商品はものすごく売れているんだろうなあ」と見た瞬間に唸ってしまった。
人気モデルが着ているアイテムは売れるというが、人気雑誌と比較しても遜色のない、モデルのクオリティ。そのモデルがSSコレクションでコーディネートした着こなしをムービーで見せる事で、雑誌では伝わりにくい「素材感」や「背面デザイン」までも訴求する事ができる。また、ムービー上のアイテムをホバーすると、選択されている商品名と値段が吹き出しで表示されるが、短くシンプルなので読みやすく、動作も速い。それをクリックすると簡単な説明文が出てきて、ECサイトのリンクボタンへと繋がるのだが、トップページからECサイトまでわずか2クリック、サイトのゴールであるECサイトの「購入ボタン」を入れても3クリックだ。
このサイトを見ていると、アイテムのカラーバリエーションもサイズもECサイトに載っている情報はほとんど省いてもいい情報なのではないか?と思う。それよりも、女性の感覚的な「彼女が着ているこのシャツ欲しい~」等という、テンション自体を下げないまま、購入ボタンをクリックしてもらい、「やっと買えた」ではなく「欲しいものがすぐに買えた!」と思ってもらえる様にサイトを構成する事が重要なのだと教えてくれる。
震災以後、広告自粛を余儀なくされたファッション業界でWEBサイトの役割はますます大きくなったという。あくまで私の想像だが、顧客の生活圏内でどこが一番目立つか?を考えて、言わば一方的に見せられる広告と違って、顧客が自ら進んでアクセスする先にあるWEBサイトは、サイト自体がリッチであっても「被災者の方たちへの配慮が足りない」という受け止められ方はしないという事なのではないかと思う。一方顧客の方でも震災の影響等で自由に出歩けない時に、自宅で複数のブランドサイトを見比べてより魅力的なサイトから商品を購入する事になる。広告自体を目にしていないから、サイトでの表現がすべてになる。WEBサイトの方で実績ができれば自ずと予算がついてくるはずだ。
広告に頼らずにブランドの新コンセプトと魅力を顧客に伝え、その先のECサイトまでどうやって誘導するか?という課題は、裏を返すと、広告・雑誌が「ブランドのメインイメージを作る場所」で、WEBサイトは「それらを補足する場所」という役割から「メインイメージを新たに打ち出し、そのまま購入できる場所」へと、役割が変わってきているのではないかと思う。