チャットボット。人材不足の救世主となり得るか?
皆様も既にご存知の通り、訪日旅行客数は年々大きく伸び、30年前と比較して10倍もの来訪者数になっています。2017年には2500万人以上にも達し、2018年には3000万人の外国人旅行客が日本に旅行にやって来る見込みです。※(観光庁発表 年別 訪日外客数, 出国日本人数の推移より)
一方で、訪日外国人に対してコミュニケーションがとれる人材の不足や、観光案内版に多言語掲載が無いなどのハード面の課題も多く、特に人材不足は旅行業界に限らず深刻な問題となっています。その課題を解決する方法のひとつとして注目されているのがチャットボットです。2、3年ほど前から頻繁に耳にするようになりましたよね。
チャットボットは「チャット(chat)」と「ボット(bot)」を組み合わせた言葉で、人工知能を活用した「自動会話プログラム」のことをいいます。「チャット(chat)」は、インターネットを利用したリアルタイムコミュニケーションのことで、主にテキストを双方向でやり取りする仕組みで、「ボット(bot)」は「ロボット」の略語です。このチャットボットがユーザーと企業をつなぐコミュニケーション ツールとして、とても注目を浴びています。
そこで今回は、弊社の強みである多言語対応にフォーカスをあてて、旅行業界でのチャットボットの事例をいくつか見ていきたいと思います。
レンタカー会社の事例
成田空港の「タイムズカーレンタル(Times Car Rental)」で車を借りると、利用客が希望するプラットフォーム上でチャットボットサービスが利用できるそうです。これは、コンシェルジュ・サービスを提供するチャットボットで、例えば、レストランや劇場の予約、道案内、よくある質問への回答を、英語・中国語で行っています。
東京駅エリアの事例
東京駅の一日の乗車人数が約40万人を超え、近年、外国人利用者の増加が顕著となっていますが、駅係員への質問も列車の乗り方から駅構内のコインロッカーの位置などと、多岐に渡るそうです。外国人観光客にとっても、ストレスが溜まりそうですよね。ここでのチャットボットサービスの利用イメージは、東京駅構内に掲出されたポスターやステッカーに表示してあるQRコードを、スマートフォンでスキャン。チャットボットのページが立ち上がったあとに、現在位置情報を共有することで、AIとのチャットが可能になるとのことです。
ちなみに、鉄道駅としては世界で初めての導入とのことです。
温泉地リゾートホテルの事例
外国人旅行者が訪れるのは東京や大阪だけではありません。地方でも旅行者は急増し、外国人の接客に不慣れな旅館などもその対応が急がれています。草津温泉の代表的なリゾートホテル「Hotel Vilagge」に2018年1月より正式にチャットボット運用が開始されました。フロントで電話受け付けをしていた業務のうち、貸出、モーニングコール、掃除以来、館内施設の予約などを対応しているそうです。また、周辺のレストラン、観光スポットなどのおすすめを、ホテルのコンシェルジュに変わって案内しているとのことです。
いかがでしたか。
観光庁が訪日外国人向けに実施したアンケート調査によると、旅行中に困ったことの1位が「施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない(32.9%)」だったそうですが、比較的質問が限られてくる旅行者には導入しやすく、且つ高い満足度を得られるサービスかもしれませんね。また、2020年の東京五輪を見据えて英語や中国語以外の他言語対応や、機能性の向上も期待されますし、私たちも新たなビジネスチャンスがあるのではないかと注目しています。