ラグビーワールドカップ、オリンピック・パラリンピックと、そのたびに多くの外国人が日本を訪れ、訪日外客が様々な日本の良さなどを実感する機会となった国際的なイベントですが、コロナ禍明けて、次は、2025年4月から184日間開催される「大阪・関西万博」が控えています。
会場は、大阪の夢洲。USJが近く、もっぱら関西方面の訪日観光エリアとしてはメジャーな立地ではあります。
ニュースで色々と課題や問題提起がされたりもしていますが、一応、目標としては、想定来場者数2,820万人、その内、海外からは350万人(全体の12%)を掲げています。(大阪・関西万博 来場者輸送具体方針(アクションプラン)第2版より。)
また、一般財団法人アジア太平洋研究所(APIR)が2023年7月に発表したレポートによると、2兆3,759億円の経済波及効果が見込まれるとされています。
ネガティブな話題を見ていると、これら試算は懐疑的なように思われますが、参考までに、2020年にドバイで行われた万博の結果を見てみると、コロナ禍下にも関わらず、来場者数2,400万人という驚きの数字になっていましたので、あり得なくもない数字かと思われます。
ただし、外国人数といった内訳は不明となっていますし、何より、ドバイでは外国人労働者が日本よりも圧倒的に多く、その親族が訪れたらそれは外国人としてカウントされたり、日本と違って外国と陸続きであると行った側面もあるので、訪日外国人の目標も簡単に達成できるとは言い切れません。
さて、日本国内は、観光的な雰囲気で万博に行ってみようという方が多数を占めるかと思いますが、この海外350万人は、いったいどういう考え、属性の方達なのでしょうか。
まず、万博というのは、参加国や企業が、自国の景観や歴史的遺産、科学技術、未来へのビジョン等、国の全体像を示し、グローバルな課題に関する交流の場と定義されています。つまり、そもそも万博に来るのは、出展関係者、各国政府関係者、ビジネスマンといった人たちが主流を占めます。
万博に、物珍しいモノ(文化や動植物なども含み)や、生活に革新的な変化をもたらすモノなどがあると、一般来場者が山ほど押し寄せるということが起きるわけで、日本の目に見えた成長著しかった1970年の日本万国博覧会(大阪万博)は、6,400万人を超える来場者を集める超巨大イベントとなったわけです。
すなわち、外国人来客だけに絞って言えば、350万人の大半は、おそらくビジネス目的での方となることが想像されるでしょう。
これは悪いことではなく、経済的にはとても重要な機会です。短期的に捉えると、ビジネス目的の訪日外客は、1人あたりの旅行消費額が観光目的の訪日外客よりも高く、リピート率も高いという数値が出ており、これが具体的なメリットと言えます。
これよりも大きいことは、国際会議や国際見本市の誘致における最も分かりやすく貴重な機会であるというメリットです。
万博を成功させることで、日本を会場とした国際的なビジネスイベント開催への安心感、実行力、集客力といった裏付けを得ることができるわけです。
サミットなど国際的に重要なイベントなども思いつきますが、万博と比べてしまうと、規模と期間が小さく、集客力も関係ありません。
万博こそが、インバウンド戦略の唯一と言って良い、かなり貴重な鍵となるイベントと言えるでしょう。
観光したい国、都市ではすでに世界屈指のイメージを獲得した日本が、ビジネス訪日でも格を上げることができれば、それこそ観光立国としての地位が盤石になると言えます。
外国人来場者350万人に、1970年の万博の衝撃をもう一度と、願ってやみません。