2019年には950万人、訪日外客の約3割を占めた訪日中国人。中国人の人気海外旅行先として日本は2位(1位はタイ)を占めており、消費額平均では圧倒的、メディアで爆買いの様子が流れ、完全に中国人向けになった店舗や宿泊施設をよく見かけるほどにインバウンドの象徴とも言える存在であった訪日中国人。
コロナ禍が世界を襲いはじめた2019年12月、訪日中国人は月間71万人でしたが、それも数千人(それでもゼロではないのはどういうことなのかという疑問がありますが)に減り、2022年後半から世界的に脱引きこもりの気配が漂い、ついに中国もゼロコロナ政策を終了した2023年となったわけですが、果たして観光地や繁華街で中国語が目立つ耳立つのはいつになるのでしょうか。
ちなみに、2022年12月は、33,500人(JNTO推計値より)と、やや戻してきている傾向はありますし、最近メディアで訪日中国人を取り上げることもちらほらと見かけるようになりましたが、このまま年間1000万人近くまで戻ってくるのでしょうか?
結論としては、『超円高でショッピングメリットが毀損する』、『日中の国交に致命的な状況が生じる』、『日本独自の観光資源が消滅するあるいは完全に代替するものが生じる』、このあたりが起きない限りは、戻ってくるでしょう。
なぜならば、日本への旅行は、個人の希望であるからで、手段が封じられていない限りは希望を実現するのが当たり前だからです。
そして、それがいつになるのかということですが、ビザ、航空便数、出入国手続きなど、様々な視点から2023年4~6月あたりという話しを良く耳にします。ただ、それは日本の春という訪日中国人が多い時期に対する願望も少々入っている感もあり、現地の話からは、実際は夏以降ではないかと思う次第です。今は、行きやすいタイなどの東南アジアに目とお財布が向いているみたいですし。
ですが、4月であろうが、9月であろうが、実勢を見て中国人向けの応対を再開しようとしているのであれば、遅いと言わざるを得ません。
なぜならば、中国人の気質として、自分が信頼する人間から聞いたことを他のあらゆる情報よりも圧倒的に信用するというものがあります。信頼する人間とは、親族、友人、自分が憧れている人、有名人などです。また、自分が良いと実感したものをリピートし、また、周囲に積極的に勧める(≒自慢する)という気質もあります。
簡単に言えば、影響力のあるアーリーアダプターを掴まえられるかどうかが、その先の利益を得る上で重要と言うことです。
さらには、これが最も重要なのですが、今(正確にはもう少し前の2022年内)に日本に来ることができている中国人は、コロナ前からビザを持っていて、かつ、今でも期限切れではない5年ビザ所有者である可能性が圧倒的に高いということです。何故これが最重要かと言えば、5年ビザは、富裕層しか持てない(といって差し支えない)ビザであり、最も消費力が強く、周囲への影響力がある方々だからです。
つまり、現在少数である訪日中国人をきっちり掴まえておくことこそが、その先、大挙して押し寄せる訪日中国人を集客するうえでものすごく重要であるということです。
もし、あなたが来たるべき訪日中国人の増加において多くの利益を得たいと考えるのであれば、今日から訪日中国人向けの体制、プロモーションをコロナ前の状態にもどし、圧倒的なインセンティブを持って歓待しなければなりません。また、コロナ前の競争に乗り遅れた方は、今が再チャンスの時期といえるでしょう。