今回は、訪日外客の話題で、ずっと言われ続けている、キャッシュレス決済についてのお話です。
キャッシュレス決済というと、大きく4つに分類されます。
昔から主流の「クレジットカード決済」、中国を中心に根強い「デビットカード決済」、タッチレスで日本国内でも急激に普及している「コード決済(代表的な物はQRコード決済、他にもバーコード決済)、予めデポジットして使う「プリペイドカード決済」です。
これらについて、実際に現場で起きている事を挙げつつ、形だけキャッシュレス決済に対応するのも考えようですよという例を挙げてみたいと思います。
クレジットカード決済
海外旅行では必携のイメージが強い、クレジットカード。当然、これで決済する訪日外国人も多いです。
しかし、現場では、海外銀行発行のクレジットカードは、残高不足、セキュリティロック状態、磁気不良、提携外など、通常日本国内ではあまり発生しない決済不能状況が発生することもあり、そのトラブルでレジに渋滞を作ってしまったり、お客様を逃がしたりということが、未だにあります。
一通りの一般的な接客ができても、クレジットカードが使えないケースへの対応が日本語以外で求められたとして、果たして現場スタッフの皆さんは対応できるのでしょうか?
導入している決済端末が、何をカバーしていて、どういう状況でどんなエラーが出るかなど、事細かに把握した上で、現場が決済トラブルに対処できる状況を供えておくことも検討する必要があります。
デビットカード決済
訪日外国人を相手にする店舗からすれば、あまりクレジットカードと差はないのですが、デビットカードは銀行発行で、開設している口座に支払いが直結(即時決済)されるというものなので、国際カードブランドとは全く異なるカード銘柄になります。
有名なのは「銀聯カード(UnionPay)」ですね。
一応、80億枚以上発行されていまして、全世界に散らばっている中華人の方、中国向けにビジネスをしている方なども持っていますが、訪日外客という視点では、基本的に中国向けです。
導入される場合は中国人受け入れを積極的に進めたいという意向があることが前提になりますが、デビットカードは、中所得層向けになります。富裕層はクレジットカードです。団体旅行客などがメインターゲットになりますので、その層向けの製品なのかは検討しておきましょう。
ただし、銀聯カードは、海外で使うとポイント2倍など、ユニークな利用促進策が色々あり、中所得層が大量買い(いわゆる爆買い)につながったりもしています。
コード決済
コード決済は、現状では「東アジアおよび東南アジア向け決済に特化している」と考えるのが妥当です。
言い過ぎかも知れませんが、客層が欧米人なのにコード決済を置いていても、設置料が掛かるだけです。
ちなみに、中国は「Alipay」「WeChat Pay」韓国は「Kakao Pay」「Naver Pay」、東南アジアは「VIA」という東南アジア諸国の決済サービスが連盟を組んだサービスが主流です。
少なくともこのあたりをカバーしていれば、コード決済としては十分でしょう。
尚、中国の方は「Alipayしかない。WeChat Pay?持ってないよ。クレジットカード?デビットカード?持ってないよ!」と言ってくる方もいらっしゃいます。レジ通した後にごり押しされてトラブルということも実際にありますので、お気を付け下さい。
プリペイドカード決済
チャージ型電子マネーですね(電子マネー決済はクレジットカードと紐付けた後払い型もあります)。
訪日外客向けに「Welcome Suica」と「PASMO PASSPORT」なども発行されていて、日本通の一部の外国人は、通っぷりを楽しむために使っています。
使われ方としては、公共交通機関での移動のついでに飲み物や食べ物を買うといった、ちょい買いというシーンが多いので、これに適合する商品を販売しているのでしたら、導入を検討されても良いでしょう。
以上ですが、ちなみに、ECサイトでも同じ話です。
単に決済端末を導入(あるいは決済手段を拡充)したら、手間だけ増えたとか、手数料が掛かるばっかりで儲からないという事は実際にあります。
冷静に現場で起こっていることについて情報を集め、適切な導入の形を想像してから手を付けることをお勧めいたします。