前回、前々回の2回で、Google翻訳をつかって、多言語翻訳を展開するにしたがって意味の曖昧さが拡大したことをお伝えしました。この翻訳という伝言ゲームで、意味がズレていってしまったことは、果たして翻訳者(この場合は機械翻訳ですが)の問題だけなのでしょうか。
日本語→英語→フランス語での翻訳リレーを例としましたが、翻訳された英語にも、さらに翻訳したフランス語にも曖昧な結果が生じています。この原因となったものは、元の日本語にあったことを今回お伝えしようかと思います。
一見なんの問題もない日本語名称ですが、翻訳という国境を超える視点で再検証してみたいと思います。
そもそもこれは、1品の料理なのか?という根本的な疑問が浮かびませんか?
「大山鶏とキノコ」を使った「クリームパスタ」とほとんどの日本語ネイティブは解釈しますが、文法的な解釈では「大山鶏」と「キノコのクリームパスタ」の2品の盛り合わせにも解釈できます。私たちの「常識」と考えられている固定観念が「大山鶏とキノコ」を使った「クリームパスタ」と思わせているだけで、文化や考えが異なる人たちから見れば「大山鶏」と「キノコのクリームパスタ」に解釈できるということです。
そうであれば、最初に原文として提示した日本人のテキスト自体に、誤解の要素が含まれていたとも言えるのではないでしょうか。
修飾関係とは、簡単なようで解釈の違いを生み出すものでもあります。「そうであろう」と考える常識の中にも、誤訳を生み出す要素は多分に含まれています。
翻訳とは2つの言語間での伝言ゲームなので、一方だけに間違いの原因があるのではありません。
伝えた側(ここでは原文を書いた日本人)にも責任があるということです。
翻訳が悪いと相手だけを責めるのではなく、翻訳元の原文を見直すと間違いの原因がわかるかもしれません。
次回は、英語→フランス語で、なぜ誤解が拡大してしまったかをご説明します。お楽しみに。