目次
- はじめに:CMSを制する者が多言語サイトを制す
- WordPress、Drupal、その他主要CMSの比較
- 多言語対応の方法:プラグイン型・サブサイト型・マルチサイト型
- おすすめ多言語プラグインと翻訳管理ツール
- 自動翻訳+人力レビューのハイブリッド運用
- コンテンツ更新・運用で注意すべき点
- まとめ:翻訳だけじゃない、CMS設計が“国際対応”を左右する
- はじめに:CMSを制する者が多言語サイトを制す
英語Webサイトを作るとき、こんな悩みを感じたことはありませんか?
- 「日本語と英語のページ構造をどう揃えるべき?」
- 「翻訳の差し替えが面倒…」
- 「運用の手間が倍になるのでは?」
このような悩みのカギを握るのが「CMS(コンテンツ管理システム)」の設計です。
CMSとは、ページの制作・更新・翻訳・管理などを一元的に扱うシステムで、グローバル対応を目指すなら、この基盤がとても重要になります。
- WordPress、Drupal、その他主要CMSの比較
現在、多くのWebサイトはCMSで構築されています。中でも代表的なのが:
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CMS |
特徴 |
多言語対応の柔軟性 |
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WordPress |
世界シェアNo.1。テーマやプラグインが豊富 |
◎(プラグインで柔軟に対応可能) |
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Drupal |
大規模構築に強い。セキュリティに定評 |
◎(標準で多言語対応) |
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Wix / Squarespace |
操作が簡単でデザイン性が高い |
△(拡張性や翻訳管理にやや制限あり) |
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Headless CMS |
技術者向け。自由度は高い |
◯(要カスタマイズ) |
特にWordPressとDrupalは、拡張性・多言語対応・SEOの柔軟性で実績も多く、日本企業のグローバルサイトにもよく使われています。
- 多言語対応の方法:プラグイン型・サブサイト型・マルチサイト型
CMSで多言語対応する方法にはいくつかのアプローチがあります。それぞれの特徴は以下の通り:
① プラグイン型(1つのサイトに言語切り替え機能)
- WordPress + WPML / Polylangなど
- URL構造:example.com/en/, example.com/ja/
- メリット:管理が1つで済む、SEO設定も一括管理可能
- デメリット:翻訳が増えると煩雑になりやすい
② サブサイト型(言語ごとに構築)
- WordPressを複数インストール、または各CMSを個別運用
- URL構造:en.example.com, jp.example.com
- メリット:言語ごとに完全な独立運用が可能
- デメリット:管理・更新の手間が倍になる
③ マルチサイト型(WordPressの機能で複数サイトを一元管理)
- WordPress Multisite + Multilingual Pressなど
- メリット:言語ごとに分けつつ、統合管理可能
- デメリット:構築・運用にやや専門知識が必要
📝 中小企業やコンテンツ更新頻度が高いサイトは「①プラグイン型」、大規模・完全独立運用を求める場合は「② or ③」が適しています。
- おすすめ多言語プラグインと翻訳管理ツール
WordPress向け多言語プラグイン:
- WPML(有料):定番中の定番。翻訳管理・SEO・hreflang対応が強い
- Polylang(有料/無料):UIがシンプル。基本機能は無料でも十分
- TranslatePress(有料/無料):画面上で直感的に翻訳できるスタイルが特徴
- Weglot(有料/無料):多機能で高品質翻訳。文字数が増えると高額
外部翻訳管理ツール(CMS連携可能):
- Crowdin / Lokalise / Smartling:翻訳チームとの共同作業に便利
- DeepL Pro API連携:自動翻訳の精度と速度を活かす
CMSとこれらのツールを組み合わせれば、「ページを作る → 自動翻訳 → ネイティブがレビュー → 公開」までの流れがスムーズになります。
- 自動翻訳+人力レビューのハイブリッド運用
多言語化には「翻訳コスト」がつきものです。そこで有効なのが、自動翻訳とネイティブチェックを組み合わせたハイブリッド運用です。
推奨フロー:
- DeepLやGoogle翻訳で機械翻訳(スピード重視)
- CMSや翻訳管理ツールで反映
- ネイティブチェック or 専門ライターがレビュー(表現力・自然さ)
- SEOメタ情報も最終確認
この方法なら、コストを抑えつつ、品質の高い英語コンテンツを量産することが可能です。
- コンテンツ更新・運用で注意すべき点
CMSで多言語サイトを運用する場合、構築だけでなく「更新のしやすさ」も非常に重要です。
よくある課題と対策:
- 「日本語だけ更新されて、英語が古いまま」問題
→ 更新管理ダッシュボードで翻訳ステータスを可視化 - 翻訳が公開とズレる
→ 公開予約機能や翻訳完了後に一括公開できる設計に - 複数翻訳者が関わると混乱する
→ CMS上でロール管理(編集者/レビュワーなど)を活用
また、「日本語と英語で構成や導線を変えるべきか」という議論もありますが、同じCMS上で柔軟にカスタマイズできることが理想です。
- まとめ:翻訳だけじゃない、CMS設計が“国際対応”を左右する
英語Webサイトの成功は、「翻訳の質」だけでは決まりません。
- どんなCMSを使うか
- どのように多言語機能を実装するか
- どのように翻訳を管理・更新するか
これら運用の基盤設計=CMS戦略が、グローバル展開の成否を分ける要因になります。
“翻訳されただけのサイト”ではなく、“現地向けに最適化されたコンテンツ”を提供するために、CMSは単なる裏方ではなく、戦略の主役と考えましょう。
次回は【番外編②】
「国別に変える!マーケティング&コンテンツ戦略の立て方」をお届けします。
米国、英国、オーストラリアなど英語圏でも異なる感性・文化・検索行動──その違いを踏まえた具体的な戦略を解説します!
