多言語版の制作の基本その2~英語の曖昧さ
前回のコラムで「簡単に誰でも作れる。大山鶏とキノコのクリームパスタ」という料理レシピタイトルを多言語展開していくと、翻訳を進めていくうちに違う意味に変わってしまうことをお見せしました。
Google翻訳の結果は「大山鶏とキノコのクリームパスタ」は「Oyama chicken and mushroom cream pasta」と翻訳されました。ここまでは人間が翻訳しても同様の翻訳になりそうですし、実際こんな翻訳が納品されてくることは予想されます。(大山鶏はダイセンドリですが、ここでは細部への指摘は割愛します)それでは、この文章のどこに曖昧さがあるのでしょうか。
「Oyama chicken and mushroom cream pasta」は
「Oyama chicken」と「Mushroom cream pasta」の2つに、つまり鶏料理とパスタに読めてしまうのです。
だから、フランス語に翻訳した際に、「Pâtes à la crème de poulet et champignons Oyama」というGoogle翻訳の結果が出てしまったと言えます。
さらに、フランス語では曖昧さは拡大しています。
まず「Pâtes à la crème」と、クリームパスタであることを認識して翻訳してくれたことは、さすが進化しているGoogle翻訳、評価できます。
しかし、de 「poulet et champignons Oyama」の箇所は曖昧さが拡大した箇所となります。
「大山の、鶏とキノコ」の(クリームパスタ)意味のほかに、
「~ de poulet」と「champignons Oyama」にも読めてしまいます。
つまり、「鶏のクリームパスタ」と「大山キノコ」とも解釈できそうです。
こうなったのには理由があります。機械翻訳だからでは片づけられない理由があるのです。
この多言語翻訳での曖昧さの拡大を確認するために、もういくつか、フランス語翻訳の例を見てみましょう。
「Grilled chicken and onion」(チキンとオニオンのグリル)は「Poulet grillé et oignon」
「Grilled Kobe beef and onion」(神戸牛とオニオンのグリル)は「Bœuf et oignon grillés de Kobe」の結果となりました。
ここで気づく点は、「チキン」も「オニオン」もグリルされているのか?という疑問です。
ほとんど同じ構文の英語から翻訳して、修飾語の違う翻訳になっています。つまり、(チキンのグリルとオニオン)と((神戸の)牛とオニオンのグリル)に翻訳されたということです。最初の文章から始まり、少し修飾語が加わることで、元の意味の解釈が分かれてしまったということですね。