ミイラ取りがミイラになる、アップルサイトの魔力
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サイト改定の依頼があったときに、クライアントに「好きなサイトはありますか？」と聞くと必ずと言っていいほど出てくるのが、アップル社のサイト。すっきりとした最先端のデザイン、というイメージがありますね。
新製品が出るだび見にいってみると、いつの間にか購入したときのイメージを頭に浮かべながら熱心に見ている自分に気がつくことがあります。催眠術にかかったように、アップル製品の魅力をいつの間にかインプットされているんですね。実に危ないサイトです（笑）
そんなアップル社のサイトは、最先端のデザイン理論を取り込みながら作られています。
■見飽きることのない製品写真
とてもキレイに撮影されているアップル社の製品写真ですが、基本的にはシンプルなデザインなので、いくらデザインが良くても何枚も見せられると飽きてくるものですが、アップル社のサイトの写真は見飽きる事がありません。
同じような他社の製品サイトと比べてみると一目瞭然ですが、画面内のコンテンツイメージの豊富さ。画面内のコンテンツがユーザーに何が出来るかを雄弁に語っていて、言葉で説明しなくても意識に刷り込まれていきます。
製品写真だけでは、製品がどのようなライフスタイルをもたらすのか伝わりませんが、アップル社のサイトは、一目で使い方が分かるようなビジュアルを、高いクオリティで、画面内に表示しています。言葉で説明しなくても、使用シーンが意識に刷り込まれていくのですね。
■シェイプアップされたコピー
スマートフォンが普及していく中で、重要度が増しているのが、情報のシェイプアップ。言いたいことがたくさんある中から、本当に重要な事を、極限までに絞り込んで表現することで、一撃でユーザーに伝える事が出来ます。
さらにハイスペックさを人の感性に訴えて表現することもアップル社のサイトの特長です。数字で訴えるのではなく、それが何をもたらすのか、を魅力的に表現する。
言うのは簡単ですが、実現するのは大変難しいですね。強いリーダーシップのある会社だから出来ているのかもしれませんが、日本の企業ではなかなか真似のできない割り切りがそこにはあります。
サイトの上位階層やページ上部は、難しい言葉を使わず、魅力的な写真とコピーでユーザーを引き込み、下位階層やページ下部に進むにつれて情報を深くする情報設計もしっかり考えられ、実行されています。
■モバイルファーストという考え方
大きな画面のPCで見ると、ビックリするくらい大きな製品写真と大きなテキスト。クオリティが高いので、見入ってしまいますが、その背景にはモバイルファーストという考え方が流れています。スマートフォンやiPad用に別のサイトを作るのではなく、まずモバイルでストレスなく閲覧出来るデザインや構成を考えて、ワンソースで、PCもスマートフォンも見せるという考え方ですね。先に述べた、情報の極限までのシェイプアップ、というのもモバイルファーストで重要なテーマになっています。
とはいいながら、iPhoneで見ると動きが遅いページがあるのはご愛嬌ですが、常に最先端の考え方を率先して実現していく姿勢は素晴らしいと思います。
■短い映画のような魅力ある動画
製品の魅力を刷り込まれて、最後にたどり着くのが動画コンテンツ。アップル社の動画コンテンツはWebで見ることを前提にして、しっかり考慮された構成になっています。
ムービーの長さや、小さな画面でみてもストレスのない画面構成。世界中で閲覧される事を考慮して、音声がなくても十分に伝わる配慮がされています。
先日見ていて、「やられた」と思ったのは、iPhoneのFaceTimeの動画。iPhone4によって、新しいコミュニケーションが生まれる事を、言葉を必要とせずに理解させるとても良く出来たムービーなのですが、最後に予想もしなかった感動が待っています。
FaceTimeってただのテレビ電話じゃん、って思っていると、いままで自分の想像力が貧困だったことを痛感させられますね。ここではネタバレしませんので、気になる方は見にいってください。
■いつのまにか買う気になっている
「あ、これあると楽しいかも」とか、「いやウチにはこれが必要だ」なんて、気がつくと買う前提で見てしまっているアップルサイト。製品の魅力、コンテンツの魅力、ビジュアルの魅力、デザインの魅力すべてが高次元でまとまっています。
これからのWebのカタチを提示しつづけるアップルサイト。
常に目が離せないサイトです。
