前回のPart 1ではDesign Thinking「デザイン思考」とは何か、何故注目されているのかについて概要をざっくりと解説しました。
今回は「デザイン思考」の具体的なプロセスをどう考えて行くのかについて解説します。
デザイン思考を体系化した主な考え方の一つに、ハーバード大学デザイン研究所(d.school)のハッソ・プラットナー教授が提唱する、『デザイン思考の5段階』があります。「デザイン思考」はEmpathy, Define, Ideate, Prototype, Testという5つのプロセスから成りこれを実行していくことで「問題解決」をし、商品やサービスの開発につなげていくと言われています。では、この5つを詳しくみていきましょう。
Empathy(共感)
ここで言う共感とはユーザーを理解することです。提供する商品やサービスをユーザーがどう感じ、どう考え、どのように行動するのかをユーザーの視点に立って考えることで、どのような問題やニーズがあるのかを把握していきます。重要なのは提供する側の都合とは関係なく、ユーザーの個人レベルでの本当の問題やニーズ、わがままな意見に対してきちんと共感できるかどうかです。
Define(問題定義)
問題定義は、Empathyで得たものに対し一貫性をもたせ、焦点の絞り込みをおこなうことを意味します。ユーザーがもつ問題はなぜ起こるのか、どのような要因があるのかを理解し、本当に解決するべき具体的な課題を特定します。それにより考えることをはっきりとさせ解決策を生むきっかけをつくります。
Ideate(創造)
課題を特定したら解決策のためのアイディアを出していきます。より多くのアイデアを生むためにブレインストーミングを行い、出来る限りのアウトプットをしていきます。アイデアを出す時に気をつけたいのが、思いついたアイデアに対して評価をしないこと。馬鹿げているとか他人のアイデアに近いからなど、評価することで発想にブレーキをかけてしまうことがあります。評価することなく、もうこれ以上でないというまでアイデアを出し尽くすようにしましょう。
Prototype(プロトタイプ)
Ideateで出たアイデアをチーム内で協議し、指示を集めたいくつかのアイデアを一度カタチにしていきます。カタチにする時に注意することは、完成度にこだわって時間をかけすぎないようにすることです。ユーザーと対話ができる、目に見えるものであればどんなものでも良いので、簡単にカタチにしてみましょう。カタチにすることで初めて気づくこともたくさんありますし、失敗することで見えてくることもあります。それを早い段階で経験することが重要なのです。
Test(テスト)
チーム内でできたプロトタイプをユーザーが実際に経験する環境もしくはそれに近い環境の中でユーザーテストを行い、フィードバックしてもらうのがこのプロセスです。ここで得た意見をもとに失敗の原因を検証し解決策やプロトタイプの改善をしていきます。
この5つのプロセスEmpathy, Define, Ideate, Prototype, Testは一度順番にたどれば良いというわけではなく、何度も繰り返したり、行ったり来たりしたり、時には同時に行うことが必要な場合もあります。手順ではなく発送方法だと捉え、実践すると良いと思います。
いかがでしょうか。
一般企業だけでなく政府関連や病院などさまざまなところで新たなイノベーションを生んでいると言われているDesign Thinking「デザイン思考」。大切なのは実践することです。プロジェクトの大小に関わらず新たな発想が必要だと感じることがあれば、一度試してみてはいかがでしょうか。