CJコラム

UIとかWeb理論は横に置いた、感覚的な“わかりやすさ”は重要

「わかりやすさ」というと、何となくUIとか、視認性とか、コントラストとか、文体とか、難しい方向に行きがちではないでしょうか?
もちろん、理論、法則、統計といった考えるための下地は必要ですが、それが表出する際には、その難しい背景を感じさせないものであるべきです。「わかりやすさ」を実現するために「難しく考える」というのは、矛盾していませんでしょうか?

 

以前、ランチついでに、ランディングページの改善をしたいという話を知人から相談されました。扱っている商品の話、ページデザインのコンセプト、自分なりに売れないと思っている考察など、30分くらい話して聞かせてくれたのですが、要は、煮詰まって、思考の泥沼にはまっている状態でした。
正直私は、これを仕事の話のつもりでは聞いていなかったので、口を挟むことも無く、ただうどんを食べながら聞いていたのですが、その知人、話し終わって最後に「うーん。こんな長い話、受け取って再現してくれる制作者はそういなそうだし、客も聞いてくれないわな。」と、自己完結して早々に帰って行きました。
自分の感覚として、わかりにくいなと思い、ひらめいたんでしょうね。
私は、話をウンウン聞いていただけでおごってくれたので、ラッキーでした。

その後ランディングページにある、長ったらしい、わかりにくいと自分で思ったところをバッサリ削り、きれいなメインビジュアル、カラーバランスの良いデザインテイストも全て捨て去り(多分これはやりすぎ)、文字を大きくはっきりと、端的な文章に変更したそうで、「(知人本人は)超ダサいと思っているが、こっちの方が売れるので贅沢は言えない。」とひとまず良好な結果になったそうです。

よくある話なのですが、ランディングページなど訪問者の行動をコントロールしやすい状況下で改善を図ろうとすると、自然とベースとしている考え方や狙い、基調デザイン、文章などの要件を逸脱せず、見た目をどう対照的にしたA/Bを作るかということに目が向き、改善したかどうかが統計的に不明、あるいは、やったことの割にはという結果になることがあります。
A/Bテストは本来、A案とB案に意図的に設けた差が何かが明瞭でさえあれば結果から成功要因を検証することは可能というものです。「ターゲットのペルソナ」「訴求するコンセプト」など、大元のA/Bを行った方が、改善できる可能性や幅は大きくなります。

 

100人中半数以上が購入しているページの改善をするわけでないのであれば、外れることで負うリスクはそう多くないので、大胆に、前提条件無く、シンプルに、感覚的に「わかりやすさ」を考えてみることもお勧めします。
構成要素が複雑になるのでなかなか難しいですが、Webサイト全体を振り返ってみた際にも、Webの専門家でない方が見ることを前提としたわかりやすさが、一定の基準にあるかを見てみることも、定期的に重要な振り返りといえるでしょう。

 

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