CJコラム

訪日ビジネスを考える~日本のタックスフリー制度~

旅行気分を高揚させてくれる、免税でショッピング。免税には、関税を免除する「デューティフリー」と付加価値税(消費税)を免税する「タックスフリー」です。
日本における「デューティフリー」は、空港の免税店や沖縄にある「Tギャラリア沖縄」など数えるほどしかない限定されたお店です。今回テーマにするのは「タックスフリーショップ」の方です。

消費税免税の店舗は、2018年4月1日現在で国内に44,646店舗。日本国内の小売店事業所数が約99万店ありますので、普及率は5%未満と、全体から見ればまだまだですかね。(もちろん小売店全てが免税対処物品を扱っているわけではないので、この5%は現実を反映していないと筆者も理解していますが。)
この免税店ですが、ドラッグストア、家電量販店、百貨店といった訪日外客が多い店舗において。以下の様なロゴを見かけたことはありませんでしょうか?

このロゴが掲げられているお店が、まさに消費税免税店の証です。

 

実際の消費税の免税手続きですが、利用者は国毎に大きな偏りがある上に、2017年以降、あまり普及が拡大していません。(2017年は全訪日外国人の54.9%、2018年は全訪日外国人の52.3%が免税手続きを利用。観光庁「訪日外国人消費動向調査」2017年・2018年報告書より。)

 

出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」2017年・2018年報告書より


特に欧米諸国の利用者が非常に低いのですが、大きな理由の一つが、日本の外国人旅行者に対する免税手続きの方法が、独特であるためだと思われます。
海外に良く行かれる日本人の方であればなんとなく、日本のドラッグストアや家電量販店に免税カウンターがあるのを、以前から不思議に思っていませんでしたか?旅行が終わって、空港で出国後に免税手続きをするというのを海外で経験している方からすると、「え?買ったときに手続きするの(しないと免税されないの)?」と思われませんでしょうか?

日本の場合は、店舗で免税手続きが行えるので、現地空港免税カウンターの長い列に並んで待たされることもなく、買ったその場でできるという非常に便利な制度です。しかしながら、便利な反面、あまり他国で見たことがない方式ですので、旅慣れている人ほど、「免税手続きは空港で」という先入観から利用し忘れているのではないかと思われます。

 

とはいえ、訪日外客を受け入れる店舗側から考えると、訪日外客の多数を占めるアジア圏の免税利用率は高いので、免税店として登録されていない店舗は、商機を大きく逸していると言えるかもしれません。
よし、ならばウチも登録だ!と意気込んで、税務署に申請して免税店として登録したとしても、めでたしめでたしとはなりません。そもそも店舗で免税手続きを受け付けるとなると、現実的にカタコトの英語だけでは無理があります。一応、観光庁から、各言語で免税手続きの多言語説明シートが無償配布されていますが、これを見て、質問も全くなくスムーズに行くとは言い切れません。

 

手続きのスムーズな対応のために人員やツールを整備する必要があるのは大きなハードルではありますが、アジア圏のお客様を取り込むにはデータから見てかなり有用な一手と思われますので、まだ免税店になっていない方は検討されてみては如何でしょうか?

 

余談中の余談ですが、日本の訪日外客向けの免税手続き方法には問題があると思っています。店舗で免税手続きが可能なため、色々不正なことができてしまう抜け穴があります。例を挙げると、外国人旅行者に免税対象物品を購入させて免税手続きを店舗で行わせ、購入した商品を日本在住の人間が店舗の外で買い取ることで、消費税を払わず商品を手にすることができてしまうというものです。(もちろん違法ですので、やらないでください。)

 

 

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