CJコラム

訪日ビジネスを考える 訪日タイ人を知る (2) ~ タイ人をおもてなしする際の2つの前提

タイ人は地図が苦手?

国別訪日外客数では、中国・韓国・台湾からが圧倒的で、タイはその影に隠れている印象がありますが、これら方々よりも詳しく、日本好きなのがタイ人です。
これらタイの方々が旅行情報源としているのは、他の訪日上位国と多少異なり、「公式・公的な情報」を頼る傾向があります。

NHK WORLD TV『TOKYO EYE 2020』『Journeys In Japan』という番組は、タイにおいても知名度が高く、平成27年度のタイにおける同社調査結果としてのリーチ(四半期)は、16.5%(出典:国際放送局経営企画局 平成28年6月付「平成27年度 国際放送の取り組みについて」より)と、単純計算で1138万人のタイ人が見たことになります。他にも、株式会社日本国際放送の事業報告書などを見てみると、放送コンテンツのタイへの送出は、重点目標であり、また、一定の効果があるように見受けられます。
また、現地の日本旅行専門番組も人気が高く、「Japan X」という人気番組もあります。

さらに、日本人の我々は、一般人として旅行博に行くことはあまり無い(日本人からすると業者市ですよね。)ですが、タイ人の皆さんは、旅行先の選定において、旅行博である「タイ国際旅行フェア(TITF)」を活用することも珍しくありません。加えて日本側の情報として、JNTOや旅行会社のWebサイトを参考にしている割合が他の国に比べて高いです。

何故なのかといえば、「旅行が人生において重要な目的であり、日本が大好きで大好きでたまらない。だからこそ公的な情報もしっかり見て準備しよう。」ではありません。もちろん、日本への旅行は、我々からするとヨーロッパに行くような、一生にそう何度もない機会で、心構えと重大なイベントではあるのですが、根本的な理由は別のところにあります。

タイ人は英語力が高いとはいえません。
世界最大の英語能力ランキングであるEF-EPIでタイは64位。日本は49位ですから、日本よりも英語力は低いレベルであると言えます。つまりは、英語で配信している日本の情報については、何となく映像として伝わっているだけであることが多く、日本に来て実際困ることが多いという意見があります。困りごとに拍車を掛けているのが、地図が苦手であることです。冗談でも揶揄でもタイの方々を下に見ているのでもなく、そもそもタイで手に入るガイドブックの多くに地図は載っていないですし、地図本の販売量も非常に少ないです。タイの方は、地図に触れる機会がそれほど日常的にないのではないかと思われます。
タイ最大のポータルサイト「sanook」には、国内旅行コンテンツ、レストランガイドなどがあるものの、詳細ページに地図がありません。(住所は載っていますが。)Google Map慣れしている私としては、住所オンリーでたどり着く自信はありませんが、タイの方は地図よりも住所の方が親切と感じる方が多いそうです。

 

今回のお話の結論としては、タイの方をおもてなしされるのであれば

 

・最低限のタイ語での対応可能なものを用意する。
・「地図見て来てね」はNG。

 

という2点を前提としておさえる必要があるということです。
地図よりも、『××駅で降りて、○番のバス停からバスに乗り、4つめのバス停で降りて右へ歩く。3つ目の信号を左に曲がって、△△という看板の向かい。』の方が伝わるというお話です。もちろん、それをタイ語と写真で、です。

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