前回に続き、訪日中国人向けにビジネスを拡大していく上で、検討しなければならない点についてまとめます。
中国人は何にお金を使っているのか
国土交通省 訪日外国人消費動向調査 2014年および2016年の日本滞在中の費目別支出データ(観光目的で滞在日数90日以内の方)を並べると
以下の様になっています。
背景黄色の費目が、購入者の割合が増え、かつ、購入単価(表中単位は円)も増えたところです。確かに体験に対する費用が増え、化粧品・健康関連商品・アニメ関連への支出が増えています。宿泊費、飲食費、交通費は単価が減少していますが、2014年に比べて、2016年の平均滞在日数が2日以上減少(10.8→8.1)したこと、訪日前に支払いを済ませている方は算入されていないことを鑑みますと、むしろ増えているようにも読むことができます。
※ただし、上記の統計数値からの傾向を述べるにおいて、一点だけ気を付けておくべきなのは、「訪日ビジネスを考える 訪日中国人を知る (2)」実際に訪日時にしたことの各項目数値と比較すると、計算が合っていないことです。要するに、それぞれの統計において回答者母集団は異なることや、回答は回答者の自己申告であることを十分に考慮する必要があります。(もちろん、一連の記事で取り上げているデータは十分に有用であり、この統計データを否定する意図はありません。)尚、当社独自の調査や知見から見た場合でも、概ね傾向はデータの通りだといえます。
個々の増減はさておき、俯瞰的な視点として上表は『人気のあったものは順次中国本土で買えるようになっており、訪日時の消費も減少している。』ということを示しているといえるでしょう。当然の事象ですが、抗うことを考えなければ、常に売り上げは下がるばかりになってしまいます。
例えばもし、家電機器に商品の良さ以外の付加価値があれば、爆買いは縮小していないのではないでしょうか?日本の炊飯器を使い、中国の水と米で炊いても、同じ味は再現できません。炊飯器を売るのであれば、買った方には日本の米と水を供給し続けなければ、炊飯器を欲しいと思う方は減る一方でしょう。あるいは、炊飯器を買った方は、中国に帰ってそれをどういう目的で使用したのでしょうか?本当に米を炊くために買ったのでしょうか?
購入後の実態をつかみ、(国境をまたいでも)リピーターにするための取り組みやアイデアを出す余地は、まだまだ大きいのではないかと思われます。