先日、河口湖を訪れたのですが、予想通りインバウンドの観光客で大賑わいでした。
そこで印象的だったことがあります。乗ったバスでは多言語のアナウンスが流れていたのですが、乗り合わせた外国人の多くは自分のスマホを熱心に操作していて、あまり周りで発信される情報に耳を傾けている素振りが見られなかったことです。案内看板やパンフレット、音声アナウンス等の情報をその場で得てから行動に役立てるという昔ながらの観光のスタイルよりも、スマホの中で得られた情報を元に行動していくというスタイルが観光客の間で定着していることを感じました。
自分より先に旅をして現地で様々な体験をした人の情報を元に、行きたいところにたどり着き、おすすめの食事やアクティビティを楽しむ。先達の情報はリアルで説得力がある上に、本来旅で起こりがちな無駄な行動や失敗を防ぐことができるので大いに助かります。ただしそれだけでは、訪れて、利用して、去っていくだけ。現地の人とのコミュニケーションをあまり経験しないままということではちょっと寂しい気もします。
では現地の人やお店が客にコミュニケーションを取って、滞在をさらに楽しんでもらおうとするには、どんな方法があるでしょうか。流ちょうに外国語で話ができれば、それに越したことはありません。でも他にも方法はありそうです。
例えば、あるレストランに入ってテーブルにつくと、その客が理解できる言語の文章とイラストが描かれた紙がランチョンマットの上にあったとしましょう。そこには、農家(笑顔のイラスト付き)から仕入れた新鮮な食材(おいしそうなイラスト付き)を使って、シェフ(笑顔のイラスト付き)がこだわりの料理に仕上げるまでの工程と思いが綴られています。客は思わずスマホの操作を止めて、その文章を読んでくれるかもしれません。そして料理が目の前に運ばれてきたときには、料理に関わった人たちの温かい思いも一緒に味わってもらえたらうれしいものです。「せっかくだから少し私たちのことを知ってもらいたい」こうした親しみの意図を感じられるような情報発信の仕方は、客の心を引きつけるのではないでしょうか。
話は逸れますが、アメリカのエミー賞で史上最多の18の賞を獲得したドラマ「SHOGUN」は、時代考証から大掛かりなセットや小道具に至るまで日本人が見ても違和感のない本物の時代劇を世界中で見てもらうためにこだわり抜いた作品だそうです。感心させられたのは脚本の制作工程です。英語で出来上がった脚本をいったん日本語に訳し、時代劇の経験豊富な日本人の脚本家がその日本語を時代劇らしいセリフにリライトし、それをさらに英語字幕に翻訳したそうです。これにより、戦国時代を生きた侍や取り巻く人々の心や精神をセリフに反映させることができたそうです。最初の英語の脚本だけで製作が進められていたら、深い精神性を表現することはできなかったでしょう。
これほど複雑な工程を経るのは特別であるにしても、単なる情報でない、熱い思いやこだわりまでを一緒に他の言語に翻訳することは、通常の翻訳ではできません。多くの皆さんがそうした言外の思いを、うまく外国のお客様にも伝えられたらいいのにと思ってらっしゃることでしょう。そんなときこそ、シトラスジャパンにご相談ください。皆さんの伝えたい思いを反映した翻訳をお作りして、際立つコミュニケーションのお手伝いをさせていただきます。