前回、シトラスジャパンの「コーディネーター」について~最新版管理の説明編~でお伝えした通り、多言語翻訳に関してより詳しくお伝えします。多言語翻訳の場合、日本語から英語と言った単一言語への翻訳とは異なる配慮が必要になるので、そこに着目していきます。
◆ヨーロッパ言語
まず、フランス語、ドイツ語などヨーロッパ言語への多言語翻訳について説明させてもらうと、この場合、通常英文を先に作成し、
英文完成の確認が取れてから、多言語へ翻訳し始める方がスムーズに進みます。
理由は近い言語から訳す方が速く、誤訳が少なくなるからです。
単純な例として、「神戸駅」を英語に訳す場面を考えて下さい。普通はKobe Stationと訳します。
しかし、これはもしかすると群馬のGodoかも、愛知のKanbeかもしれないわけです。
正しく訳すには、前後の文脈を読む必要があるのは当然として、多少の調査や、時にはクライアントへ問い合わせを行わないといけません。
このような場合、日本語から英語、日本語からフランス語のように同時に訳していると、各言語すべてが誤訳になる可能性があるわけです。
日本語には間違いやすい固有名詞がたくさんあるので、日本語から直接各言語に訳すと、日本に精通したコストの高い訳者・校正者が必要です。それだけでなく、調べる時間も各言語ごとに必要なのでコストアップにもつながり、その上、誤訳の発生率も高まります。
ですから、まず英語へ慎重に訳し、誤訳を完全になくした状態で他のヨーロッパ言語へ展開する方が結果的に早く、良いものが出来るのです。
◆アジア言語
反対に、中国語だと音は関係ないので、日本語の「神戸駅」を繁体字であれ簡体字であれ読み方に関係なく、漢字のまま訳せます。
しかし、この場合、一度英語などの表音文字に直してしまうと、中国語に訳す際、問題が起きます。
例えば、Godo Stationを「神戸駅」の訳にするのか、「郷戸駅」もしくは「顔戸駅」との訳にするのか分からなくなってしまうのです。
韓国語訳への事情はそれよりさらに複雑で、表音文字を使うので先の例から行くと英語から訳してもいいのですが、
語順など文法上は日本語に近いところも多く、漢字を理解できる人も多いので日本語から訳すことが多いのです。
と言うことで、コーディネーターは自分で翻訳しない場合でも、色々考えて翻訳家の手配をしているわけなのです。
次回は多言語DTPについて書きたいと思いますので、お楽しみに。
T.N コーディネーター