便利な※(こめじるし)、でも英文ではご注意
※(こめじるし)は皆さんにもおなじみの記号だと思います。
普段文章を読んでいて目にすることも、自分で使うことも多いでしょう。
実際、日本語の文章を英語に翻訳する際、元原稿に※が入っていることは非常に多いです。
ただ、その使い方がとても自由だなぁ、としばしば思います。
今回はその話を少し紹介したいと思います。
本来、※は文章の中で注釈をつけたいときに使います。
例1
(広報東京都令和4年4月号より)
「ゼロエミッション」の右肩に※が小さく付いて、右側の余白部分に※で始まる注釈「CO2排出実質ゼロ」が書かれています。本文中で※を見た人に、近くに置かれたもう一つの※に視線を誘導し、※の後に続く説明を読んでもらうという目的で使われます。
英語では、これに対応するのが*(アスタリスク)と呼ばれる記号です。
ある単語の右肩につけたら、文の区切りや、ページの下などに*(アスタリスク)から始まる注釈文を置きます。
注釈が複数ある場合は、※1※2※3というように数字を付けて区別します。
英語のアスタリスクも同様に*1*2*3となります。
※も*も、一度出てきたら、必ずもう一つの※または*がそう遠くない場所に置かれています。
つまり、2つでセットで使われるということです。
一方で、※は、注釈で使われる他にも、非常によく見かけます。
私の印象では、本文の内容を一部制限・補足したりする場合や、特に注意を引きたい事柄に※をつけていることが多いようです。
例2
(東京都ホームページ報道発表資料より)
こちらの例では、対象事業の情報を補足する文に※が付けられています。
例3
(東京都ホームページ報道発表資料より)
ここでは、「その他」セクション内のすべての文に※がついています。大事な情報なのでしっかり読んでくださいね、という意図が伝わってきます。
例2例3の用法は頻繁に見られますが、こういう場合、英訳文でそのまま*(アスタリスク)に置き換えることはしません。注釈の記号として使われていないからです。
*(アスタリスク)を使わない代わりに、※で率いられた部分には以下のように手を加えます。
・アンダーラインをひく
・目立つ色を付ける
・太字にする
・本文の内容を補足・制限する情報を()で囲む など
このようにして出来上がった英訳をお客様に見せたら、※に戻されて返ってきた…ということもあるのですが、その場合は、上記のような説明をして、ご理解いただいています。
便利だからよく考えずに※を使っていた、という方もいるかと思いますが、英訳した文章には※がそのまま残ることのないように、ご注意くださいね。