CJ Column

コラム

吹き替え映画に思うこと(前編)

なぜ日本人は英語が苦手なのか、という問いの答えとして、洋画やドラマの英語を日本語に吹き替えるからだ、と指摘する意見があります。
某サッカー選手が、オランダ人は幼少期から英語を英語のままで親しんでいるから英語が上手に話せる、日本もそのようにしたらどうかとSNSでつぶやいたこともありました。

日本のテレビでは映画、ドラマ、ドキュメンタリーなどもだいたい日本語に吹き替えされており、本人の声が聴けるのは英語の教育番組か、ニュースに出てくる人のコメント程度です。英語を話すようになるには、ありのままの英語に慣れ、受け入れることから始まると言えるので、英語を身に着けたい日本人にとってはこのような状況は役に立つとはいえないかもしれません。

子供の英語教育に力を入れている政府が、英語コンテンツの吹き替えから字幕推奨に本腰を入れたらどうなるだろうかという興味はありますが、そう簡単には実現しないだろうなと思います。なぜなら日本において、洋画・ドラマの日本語への吹き替えというのはアニメと同様に多くの人に親しまれ、すっかり確立されているジャンルといえるからです。そこには、海外の文化を取り入れて自分好みにうまくアレンジする、という日本人のお家芸がしっかり生かされていると感じます。

この「うまくアレンジする」というのがポイントです。

吹き替えの声がちぐはぐでひどいものであれば、視聴者はあきらめて、字幕に切り替えるはずです。
しかし日本人は外国料理のアレンジしかり、外国語のコンテンツも見事に魅力ある独自の作品に変容させてしまいます。
数々の名作として知られる作品には、特徴的で魅力ある声の持ち主が吹き替え役を務めてきました。
有名なところではヒッチコック監督役の熊倉一雄さん、シャーロックホームズ役の露口茂さんなど。
この海外俳優にはこの声優、といういわゆる定番吹き替え役がついていたりして、その声に深い愛着を持つ人も少なくないでしょう。

私は常々、吹き替えはアニメを見る感覚に近いなと思います。
務めるのは両者とも声優(話題性のために俳優が起用されることも多いですが)であり、キャラクターの特徴を出すために、声の演出が多少オーバーだからです。キャラクターごとの声の分類もある程度お定まりなことが多く、野心家で魅惑的なヒロインなら色っぽい声、清純派ならはかなげな声、おてんばなら甲高い声、のように。はっきりキャラクターを立たせ、とっつきにくい異文化の作品の人間関係、ストーリーを分かりやすくしているような気がします。このように制作側は日本向けの演出を施し、オリジナルとは別物でありながら大衆にウケる作品に仕上げていると思います。(後半につづく)

K.I  コーディネーター

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