閩は福建省の略称で、閩南は福建省の南部を指し、泉州、アモイ(厦門)、漳州の三つの地方を含みます。海洋文化を持ち、開拓精神が根付いている福建省は華僑が多いことが特徴です。特に泉州、アモイ(厦門)、漳州三つの地方は潮州、汕州、台湾、さらに東南アジアと近接しているため、外食文化も盛んです。
閩南は海に近いため海鮮物が豊富で、カモ肉や各種ホルモンなども現地の特徴的な食材です。閩南の料理は風味、もっちりとした食感、クリーミーさが特徴です。そして、ねぎ、生姜、醤油、魚醤などの調味料を使用して、食材の本来の味を引き出すことを重視しています。
(↑福建泉州の屋台料理。泉州は福建省の経済中心地の一つであり、閩南語を用いた伝統芸能も盛んであります。写真出典:https://www.zcool.com.cn/work/ZMTgwNTc3Mg==.html
蚵仔煎(オアチェン、オアゼン)は閩南地方の代表的な料理の一つで、その調理方法は日本のお好み焼と似ています。溶き卵と澱粉を混ぜて牡蠣(蚵仔)を加えたものを円盤状に焼き、青ネギで香りを付け、チリソースをつけて食べます。薄い卵の皮とプリプリしたクリーミーなカキがこの料理の特徴です。食感をより楽しむために豆苗を入れる家庭もあります。
旧暦の二月はカキが最もおいしい時期です。大きな西洋の生カキと比べて、指先程度の大きさの小さい牡蠣は抜群の風味と旨味があります。また、生臭さも少ないため、生カキが苦手な人でも蚵仔煎を食べることができます。
東南アジアから由来したと言われている沙茶麺というタンメンも閩南地方の特徴的な郷土料理の一つです。沙茶醤(サーチャージャン、魚介ベースの中華味噌)で作っただし汁に茹でた中華麺を入れ、ホルモン、イカ、砂肝、油揚げ、湯通しした野菜などをトッピングとして加えたら完成です。
沙茶麺では中華麺を使用するのが定番ですが、中華麺の独特のかん水の味が苦手な人は、インスタントラーメンや他の麺に変えることもあります。
その他にも、薄い生湯葉で精肉と太ねぎなどを巻いて作った五香巻、すり潰した芋にナツメ、金木犀の花、チェリーを混ぜて作ったデザートなどがあります。これらは比較的に日本人の味覚に合った料理だと思います。
海洋性気候である閩南地方は四季があり、緑あふれた地域です。閩南の人は信義を重んじ、親切で来客も好きです。閩南はどの季節でもお勧めの旅先です。