100円が100 circle?…機械翻訳の誤訳について
機械翻訳の精度が飛躍的に向上し、世間で便利に使われている昨今、便利さだけでなく翻訳の流暢さについては、日本人が翻訳したものよりいいかも・・との外国人の意見もあります。
しかし、そうは言ってもまだ安心できない、と言わざるをえない不安要因を見つけました。
それは一見、とても単純な翻訳で、英語の分からない人や小中学生でも「間違っている」と指摘できてしまうようなことでした。
翻訳元の日本語は「100円」
機械翻訳した英語は「100 circle」
…単純に機械翻訳はやっぱりダメだ、では済ませられないと思います。
「100」が数字をそのままにして「100」となったのは問題ないのですが、なぜ金額表記の「円」が正しく翻訳できなかったのか疑問になったからです。なぜなら、AIを使った機械翻訳では、文章前後のコンテキストを汲んで翻訳するので、自然で流暢な翻訳となるからです。
たしかに、「円」だけであれば、広辞苑で調べるかぎりでも、「まるいこと、まるいもの」のほかに、「かけたところがない」「十分である」「貨幣の単位」などの複数の意味があります。つまり、ここだけが文意を無視して、一般的な意味で一番最初に上がってくる「まるい」の意味が選択されたことを意味しています。
実は今回、翻訳文の他の箇所では、正しく「yen」と翻訳されていました。
その理由を考えたとき、正しい箇所と間違った箇所とでのある違いに気づきました。
それは、金額を話題とした文意の文章中では正しく翻訳されていたのですが、間違って翻訳されていた箇所は、レイアウト的に独立して前後のつながりがなかった箇所でした。そして数字と漢字で文字の大きさが違い、異なるフォントが使用されていました。
文意が断絶した単独のレイアウトだったり、文意を無視して必要な文字列のみを羅列した翻訳原稿から翻訳を行うときは、人間が翻訳する際にも意味の勘違いやレイアウトするまで意味が分からなかったりします。何かいい方法はないものかといつも思うのですが、翻訳を依頼する側の発注業務にも、品質を左右するスキルが問われているのかもしれません。
機械翻訳といっても、様々な翻訳エンジンが世に出ていて千差万別ですが、こうした間違いがタイトルで表示されてしまうと、大きな問題となってしまいます。今のところ、人の目で仕上がりをチェックして対応するしかないのかもしれません。