前回コラムではAIが翻訳やスタイルガイドの役割を大きく担っていくことになることを書きました。
今回は、機械翻訳 (MT)の企業にとってのベネフィットについて考えてみたいと思います。
(本コラムで言う機械翻訳とは、自己学習型のニューラル機械翻訳を指しています)
何が一番良い点?
MTの一番のベネフィットはスピードです。ほぼ瞬時に翻訳してしまうことに尽きます。翻訳の精度も上がっており今後ますます向上していくことを考えると、プレ・トランスレーションとしては使わない理由はありません。社内で内容確認での使用では、利用範囲が増えていくかもしれません。
公式文書としては?
「見直し」と「校正」を加える必要があると思います。これは今後とも翻訳や英文ライティングという仕事がAIテクノロジーに100%取って代わることにはならないと、私たちは考えているからです。同じ業種の企業間で類似(あるいは同等)商品を販売していたとしても、オリジナルの工夫がされていたりデザインコンセプトが違っていたりと、マーケットには常に新しい差別化が生まれているからです。一般的に正しい翻訳文が提供された後に、それぞれの商品の特徴や個性に合わせた差別化と商品競争の意味で「ローカライズ」の必要が生じてきます。各企業とも固定した委託先へ翻訳依頼している理由はここにあるのではないでしょうか。
今後も同じ翻訳業者に依頼し続けるの?
すでに、MTと翻訳メモリーによるプレ・トランスレーションと人間のポストエディットによる合理化作業は始まっています。今後、機械翻訳のパートが飛躍的に発展していけば、現在行っている人間のポストエディットの領域、つまり「翻訳のための翻訳作業」は相当低減されていくはずです。その先にあるものは、各企業が商品の宣伝PR、個性の訴求をいかに伸ばすかという点です。日本語を英語に置き換えるといった単純翻訳からの切り替えは問われるかもしれません。
商品の差別化や個性が企業競争の中で必要なことと同様に、「どうすれば言葉を伝えることができるか」が新しい翻訳技術にも求められてきます。AIによる機械翻訳は、英文コピーライティング力を生かし、伸ばしていくインフラのようなものになるでしょう。
当社は、ネイティブ視点で商品の訴求点にもとづいた英文ライティングの長い経験があります。
この「ネイティブ言語での書く力」を今後とも第一に考えています。