CJコラム

ライティングのボリューム ~よいライティングとは?~

「完璧とは、他に足すべきものがない状態ではなく、他に引くべきものがない状態である」
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(フランス人作家)

 英文の評価基準の一つにその短さがあります。つまり、「よいライティング」とは、「より簡潔に表現されるべき」なのです。

もちろん古典文学や詩歌の中には、冗長的な表現をして評価される場合もあります。
が、普遍的な英文ライティングの評価としては、同じことを一字でも少ない字数で表現できるほうが優れているのです。

 例えば日本の学校では、作文に字数制限はあっても、短く書くことはあまり評価されません。
同様に普通の翻訳業だと翻訳語のワード数が多いほうが評価されるので、(わざと訳文を長くすることはないにしても、)短い文章を評価する風習があまり育っていないのが現状です。

それでも、簡潔なライティングへの需要は、今までにも増して高まっています。
特に現代のネット社会では、情報を得るために読む量が増え、長文を読む余裕もなくなってきており、簡潔でない文章は、読まれない可能性すらあります。
How Much Information? 2009 Report on American Consumers
(出典:Global Information Industry Center University of California, San Diego)

 簡潔にする=単に適当に文章を削って短くすれば良いというわけではありません。
字数を減らすことで不正確になったり、伝える情報が少なくなったりすると意味がないからです。

 大切なのは「機能美」です。不要な部品や装飾がなく、すべての単語が意味をなし、読者に伝えるものを持っているライティングこそが評価されるのです。正しく字数を減らすことは、字数を増やすことよりも何倍も難しい作業になります。
この、短くする努力が評価されにくいことは残念ですが、制作陣としては、よりよいライティングが完成した喜びはひとしおです。

ライティングを依頼される際は、「簡潔なライティング」の視点も持ち合わせてみてはいかがでしょうか。

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