CJコラム

異なる文化、異なる感覚~日本で目にする英文コピーライティング~


ネイティブ英文コピーライターへの依頼で、日本の企業が既存の日本語テキストをベースにして英語圏向けにコンテンツを制作したいという際、様々な文化的違いが問題として浮上してくることがあります。ここにいくつかの例を挙げてみることにします。

日本語文章は英文コピーに比べて少ないスペースにより多くの情報を盛り込むため、日本語テキストのニュアンスを全て忠実に順守することは、英文コピーを過剰に長く複雑にしてしまう結果になってしまいます。これは、特にヘッドライン(大見出し)によくあることで、通常は短く、キャッチ―にすることで読み手の注意を惹きつけるようにすべきです。物凄く長いヘッドラインや、必要以上に細部に拘泥した本文を書くことで読み手が去ってしまうよりは、英語ネイティブの読者に対してはシンプルで短いメッセージで伝えるほうがはるかによいのです。

日本語文章では、主要メッセージの繰り返しは丁寧で有効的と考えられています。日本人読者には気にならないかもしれませんが、ヘッドライン、サブヘッド、コピーの書き出しの1行目において、同じメッセージが繰り返されていることを、複数の事例で目にします。英語ネイティブの読者にとっては、こうした繰り返しは素人っぽく度が過ぎて思えてしまうのです。英語では、主要メッセージは同一ページ内で一度、文中で離れていれば二度、で通常は十分なのです。

中見出しに小見出しをつけることは日本人には好まれているようですが、英語ネイティブの読者にとっては逆で、短いが故により大きな効果を得られると考える傾向があります。この中見出しが長くなり、最初に目に入るコピーの文章量が増えると、大見出しは訴求力のないものになってしまいます。ヘッドラインである大見出しが十分によいものであれば、英語のライティングでは通常、中見出しは必要のないものでもあります。

日本の企業が、文化的な違いを考慮せずに、原文の日本語の構造と意味を厳密に順守したいと求めるならば、結果として英文コピーは英語ネイティブの読み手にとっては心に届かないものとなってしまうでしょう。柔軟に対応し、必要に応じて適した調整をコピーライターに依頼されるほうが好ましい選択と言えます。

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