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コラム

想う人には想われる?! ミスマッチを防ぐための求人広告アイデア

気になる異性がいたとしよう。自分の想いを伝えたい。どう伝えれば彼女になってもらえるだろうか。彼女は自分のことをよく知らないのだから、いきなり『付き合ってください』と言うよりも、ちゃんと自分をアピールして徐々に理解してもらった方がいい。彼女の心に響きそうなメールをしたり、彼女が喜びそうな場所に連れて行ったり、美味しい食事をともにしたり、そういうプロセスを経るに違いない。
まだ運命の人に出会っていなくても、そのとっておきの機会のために覚えておきたいことがある。まずは自分の存在を知ってもらうために、どのように彼女の前に登場し対面を果たせば良い印象を持ってもらえるのか考えておく必要があるということ。そして、彼女の好みは何なのか等、ストーカーにならない程度に情報を探り、常に彼女というひとりの女性だけを想定して、あの手この手とアタックすることが望ましいだろう。

実はこのセオリー、我々の仕事も同様で、まず大前提として、メッセージを伝えたい人、届けたい人は誰なのか、その人のハートを鷲掴みするためにどのように伝えればよいのかを考える必要がある。こんなことは広告の分野に携わっている人であれば「当然のこと」と思うだろう。
そして、この当たり前のことは、人材採用の場合にも当てはまると私は思う。しかし、実際の企業の採用現場では、そこを疎かにしているために『いい人材が採れない』『すぐ辞めてしまう』などのミスマッチがしばしば生じているようだ。

人材採用は、新卒・転職サイトでの募集を行い、そこから自社サイトへ流入するパターンが多いと思われる。貴社が出している求人広告は、自社のどこに興味をもってもらうのか、自社サイトに流入してきたら何を伝えるのか、企業側が一方的に言いたいことだけ言っていないか、応募者が本当に知りたいことに対して配慮を怠っていないか、ちゃんと確認できているだろうか。 具体的な項目を列挙してみよう。

■人を採用したい企業側が発信する情報は?
事業内容、募集職種、給与体系、勤務地、就業時間、休日、福利厚生(保険等)、、、、ここまでは最低限必要な情報。気を利かせ、ひとことPRとして『みんな仲良しで、明るく元気な会社です。』と加えてさあ満足、という会社も中にはあるだろう。しかし、この一言では、他の会社とどう違うのかよくわからないばかりか、社名を変えればどこでも通用してしまうではないか。この会社には他に伝えたいことはないのだろうか?と思ってしまう。

■その会社に入社して何ができるのか知りたい求職者が必要としている情報は?
事業内容、募集職種、給与体系、勤務地、就業時間、休日、福利厚生(保険等)、、、、ここまでは先ほどと同様。さらに、求職者にとっては、下の情報も気になるだろう。
・過去の実績
・どのような人たちが働いているのか
・将来ビジョン(どのように発展していくのか、企業として社会で何を成し得ていくのか)
・なぜ採用をするのか
・人材に対するビジョン(どのような人に入社してもらい、どのように成長して欲しいのか)
・企業のポリシーや企業哲学(仕事や人材に対する捉え方)等

さて、ここまで求人広告に盛り込んだところで、もう一度考えてみよう。これで本当に採用のミスマッチを防ぐことができるのだろうか。自社の想いをまだ見ぬ求職者に伝えきれているのだろうか?

まだ不安に思っている採用担当者には、少し古いが、「さすがGoogle!」という事例を。

シリコンバレーの中心を走るハイウェー101沿いのビルボードに、複雑な数学の問題を載せた広告が現れた。(中略)この広告には、「{eの値中の、最初の連続する10桁の素数}.com」と書かれている。この答えの「7427466391.com」にアクセスすると、そのウェブページにはさらに別の問題が用意されている(中略)。この問題を解くと、Googleの研究開発部門「Google Labs」へのページに辿りつく。このページには、「Googleの構築を通して我々が学んだことの1つに、自分が何かを探しているとき、向こうも自分を探している場合のほうが見つかりやすいということがある。我々が探しているのは、世界最高のエンジニアであり、あなたこそその人なのだ」と書かれている。


採用活動は、採用現場では案外ルーチンでやっていたりして、採用したい人物像が不鮮明になっていたり、そもそも会社自身のビジョンが不明瞭であったりするケースが少なくない。そういった根本的なことが欠損している現状に、私なんかは疑問を感じてしまう今日この頃。

先に紹介したGoogleの例では、欲しい人材のイメージが『数式を解くのが大好きな人』というように明確にわかる。世の中にはとにかく数式を解くのが大好きという変わった人がいるそうだが、Googleはそういった極めて優秀な数学者を採用するための手段として、数式だけの広告を作ったのだろう。

Googleほどの会社なら入社したい人は山のようにいるはずだけれど、Googleの社名を入れることで、募集要項もよく読まない単なるミーハーというだけの相応しくない人物からも応募があるかもしれない。それでは本末転倒。社名は逆にノイズになってしまう。

今回採用したいのはこの難解な数式が解ける人材。
そのためにはあえてGoogleの社名や余計なことは情報として必要がない。
そう判断したうえでの求人広告だったのだろう。

下手な鉄砲数撃ちゃ当たるもいいけれど、入社後のミスマッチは応募者にとっても会社にとっても、お互い不幸なこと。冒頭の例になぞらえて言えば、ピンポイントで欲しい人材(彼女)の個性も想定し、「ウチの会社はこんなことをしようとしているので、ウチの会社に来てくれたら(俺の彼女になってくれたら)こんなことをしてもらいたい。それが面白そうだと思ってくれるのなら是非来てほしい。」と言ってしまった方が、入社後に残念なミスマッチは起きないのではないだろうか。
戦術をしっかり固めたうえで、そこにさらに一ひねり加えることができれば、魅力ある高嶺の花を手に入れられるかもしれない。

 

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