アラビア語など右から左に読む言語では、レイアウトやデザインはどう変更されますか?
アラビア語やヘブライ語のように、右から左に読む(RTL: Right-To-Left)言語の場合、グラフィックデザインのレイアウトは単に「文字の向き」を変えるだけでは済みません。
視線の流れが根本的に逆になるため、レイアウト構成やナビゲーション、視覚的な優先順位の付け方まで大きく変える必要があります。
まず、文章の配置が右揃えになるだけでなく、全体のレイアウト構造自体を左右反転するケースが多くあります。たとえば、日本語や英語のチラシでは左上にロゴ、右下に問い合わせ先という構成が一般的ですが、アラビア語圏ではこの配置が反対になることがあります。
視線が右上から左下に向かうため、重要な要素を右側に置くことで、自然な視線誘導が可能になります。
また、写真やイラスト内の「動き」も注視すべきです。たとえば、人物が左を向いて歩いているビジュアルは、LTR文化圏では前向きな印象を与えるのに対し、RTL文化圏では「逆走している」「過去に戻っている」印象を与えることがあります。そのため、デザインの方向感覚まで再構成する必要がある場合があります。
さらに、タイポグラフィの扱いも特殊です。アラビア語は連結文字で構成されており、文字間の間隔調整(カーニング)や行間の調整に高度な知識が求められます。対応フォントも限られており、標準的な欧文用フォントでは代替できないため、適切なアラビア語フォントの選定が必須です。
対応ソフトウェアについても注意が必要で、RTL対応バージョンを使用しなければ、文字の流れや配置が正しく処理されません。
以上のように、右から左に読む言語に対応したグラフィックデザインには、単なる翻訳と置き換え以上の構成的な最適化が必要です。
現地の文化と慣習を理解した上で、ネイティブとの確認を重ねながら進めることが、高品質な多言語デザイン制作の鍵となります。
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