ウィルスによる生命の危険と、経済による生命の危険を天秤の両端に載せようとする国が一般のニュースでもうかがい知れるほどの状況になっている、今回の新型コロナウィルス禍。
2020年3月の訪日外客数暫定値が出たところで、本年の見通しについて公的データに基づいた、簡単な計算結果を示したいと思います。
JNTOの発表によると、
2020年1月の訪日外客数は、推計266万1千人と前年同月比-1.1%、
2月は、108万5千人強と、前年同月比 -58.3%、
そして、2020年3月は、193,700人、前年同月比-93% となっています。
この数字は、1988年(昭和63年)頃の水準です。
また、先日、国内航空会社の業績見通しが発表されましたが、そこから推算すると、2020年間の訪日外客数は、500万人(年内自粛)~750万人(夏以降緩やかな国際経済活動の正常化)程度と読まれているようです。
この訪日外客数は2003年(平成15年)国土交通省『ビジット・ジャパン事業』開始の年あたりの水準で、当時の訪日外国人旅行消費額は、約1.1兆円(※)でした。
一方、2019年は、訪日外国人旅行消費額は、約4.4兆円であり、経済規模としては前年の四分の一です。当時の風景を思い出すと、有名観光地に外国人を見かける。といった感じでしょうか。商店街などで見かけると、外国人がいるなんて珍しいと、周囲の目が向いていたような頃でもあります。
では、この状況、いつになったら解決するのでしょうか?
これについては、正直予知能力者でも無い限りはわかりません。
各分野の専門家が様々な視点で目論見を立てていますが、私も含め、希望的観測、ポジション背景による色付け、願望が無いとは言えない予測です。
私は、特定の分野の権威でも専門家でも何でも無いのですが、長らく経済的活動の評価を行う際、根底的に重要な要素である「鉄」に関連する数値から、旅行という消費余力がいつ頃発生しそうかという推定をしてみました。(新型コロナウィルスが終息、あるいは、克服される時期では無く、経済が死なないために、無理にでも日常に戻す時期という推定です。)
現在、鉄鋼に関する、資源、生産材料、物流、在庫、生産余力、需要、関連企業株価など、様々な数値が軒並み大きく悪い方に向いています。
結論的には、訪日外客が2013年水準(海外の富裕層が日本の観光に注目し始めた頃)に戻れるのは、早くても2020年10月以降、2019年水準に戻れるのは、2022年10月あたりではないかと考えている次第です。
訪日観光客向けの事業は、少なくとも半年耐えられないのであれば、縮小あるいは撤退を視野に入れるべきと考えます。
(※)国土交通省『「旅行・観光産業の経済効果に関する調査研究IV」の概要について』記載の訪日外国人旅行消費額より、訪日前後の金額を控除しての当社試算です。