前回、旅行の醍醐味、免税ショッピングについて取り上げましたが、一応このコラムは「訪日ビジネスを考える」ものですので、今回はビジネスとしての視点で、小規模店舗でも、うまく導入する方法について述べてみたいと思います。
そもそも、外国人向け消費税免税制度は、対象となっている一般物品および消耗品を扱っていること、さらに税別計5,000円以上の購入でないと免税の対象にはなりません。まず、ここを自分たちはクリアしているのかが前提になります。(執筆時点。)
その上で、対応する人手やシステム導入のコストを鑑みると、1店舗で外国人の免税手続き対応をしていくのは、現実的かというと大きな疑問符がつきます。
そこで注目すべきは、「免税商店街」という形です。複数の店舗が免税手続き一括カウンターを有することで、他店舗での買い物も合算して免税手続きが可能になるという制度です。2015年4月以降、政府が打ち出した方式で、有名どころではメディアでも訪日外国人をテーマにしてよく取り上げられている、東京合羽橋商店街などが挙げられます。
そのような、「外国人しか歩いてないようなわかりやすい商店街なら、そりゃそうでしょ。」という感想はごもっともです。実際。平成29年3月 中小企業庁の「商店街インバウンド実態調査」という資料を紐解くと、約7割の商店街は、訪日外国人向けの対応を今後も実施する予定はないとしています。特に、近隣型や地域型と呼ばれる小規模商店街においてはこの比率が圧倒的に高く、一方、広域型の商店街になればなるほど、取り組みを行っている、あるいは、行う予定であると回答されているところが5割を超えています。
訪日外国人対応に関する様々な取り組みは、補助金が多種多様に存在する分野ですし、主に、クレジットカード会社や配送会社などは、訪日外客のショッピングに親和性が高いパートナー候補ですし、銀行ももちろん地域活性化の有効な方法論として協力的ではあるでしょう。免税商店街に手を挙げる土壌は、多くの地域において十分にあるのではないでしょうか?
さらに言えば、多くの商店街が、残念ながら“感覚”でモノを言ってしまっているのではないでしょうか。
「商店街インバウンド実態調査」によると、外国人観光客をたまに、あるいは、よく見かけると回答した商店街でさえ、その85%以上が、実態調査(アンケートや歩行者通行量調査など)を行っていないと回答しています。
実態や数字がないと、やはり腰が上がらないのは確かですし、客層の変化により、単純に面倒であったり、既存のお得意様が逃げてしまうリスクもあるのも確かです。だからこそ、自分の店舗の中で全てを対応するのではなく、免税商店街として役割分担を行い、お客様の流れを整えるという形での導入を検討する価値はあるのではと思います。
商店街において、圧倒的多数のお客様は主婦の方々です。気心知れたお客様を対応されているその後ろを、物珍しそうにしながらも、邪魔にならないようにと、外国人が通っているなんていうことが、今日起こっているのではないでしょうか?
そんな外国人のお客様に、笑顔でハローと言える、そんな気さくな光景こそが、外国人が日本人に感動を覚える瞬間だったりします。
「商売は真心」のグローバリゼーションって、かっこよくないですか?