「スムーズでなめらかな走り」という文章を見て、日本語として何かおかしな点があることに気づいた人はかなり読解力に優れた人です。
通常そのまま問題なく読めて、理解できてしまうため、そこに問題が存在すると気づけないのです。ただ、翻訳し始めると簡単に問題に気づいてしまいます。
今回は翻訳しない人に理解してもらい難い、そんな日本語の問題に焦点を当ててみましょう。
全部ではないですが、私のよく出くわす3つのパターンを紹介します。
1.カタカナ問題
2.略語問題
3.隠れ多義語問題
1.カタカナ問題
とは、カタカナを使用することで同じ意味の言葉を繰り返していることに気づけない問題です。(ちなみに私の勝手な命名ですので、学校のテストには出てきません。)タイトルにある問題はこのカテゴリーに属しています。
例文:
スムーズでなめらかな走り
問題点:
「smooth =なめらか」なので、
「スムーズでスムーズな走り」
といった意味になってしまいます。
下記の例文も同じ問題がありますので、考えてみてください。
例文:
スマートで賢いアプリ
赤ちゃん用ベビーカー
これらは慣れてくると比較的簡単に気づくことができるようになります。
2.略語問題
とは略語を使用することで繰り返しに気づけない問題です。
例文:
SUV車
問題点:
「SUV=Sport utility vehicle」で、
さらに「Vehicle=車」なので
「スポーツユーティリティ車車」となってしまいます。
下記の例文も同じ問題があります。
例文:
CADデザイン (CAD=Computer-aided design)
NPO団体 (NPO=Nonprofit Organization)
このカテゴリーの問題はネイティブの書く英文の中にも散見するものなので、調べて意味を理解しないと発見することが難しい問題です。
3.隠れ多義語問題
と言うのが実は一番厄介な問題で、前後の文脈等から問題にはならない場合もあり、一概にこの単語が問題だと言えないのです。この問題はただ翻訳していても露見しないこともありますが、説明が難しいので例文を見てみましょう。
例文: 細かな振動
問題点:
もしこの文が「細かな砂」だと問題はないのです。
ただ、「振動」と組み合わさると「細かな」はweakとhigh-frequencyの両方の意味を持ちます。しかし、周波数が高い振動でも弱くないものも存在するように、同じ意味ではありませんから、誤訳のもととなってしまいますし、同様に日本語で読んだ人も書いた人が意図したように理解できていない可能性も残ります。
難しい問題ですが、日本語として間違いではなくても、そのまま英語に直せないこともあるとだけ知っていただければ幸いです。