CJコラム

紙媒体の制作/印刷における事故を防ぐには?〜vol.1〜

紙媒体の制作現場において、最も頭を悩ませるトラブル。
それはミスプリントによる刷り直し、いわゆる「印刷事故」ではないでしょうか。
こうした事故は、制作元だけでなく、クライアントや担当代理店、果てはエンドユーザーにまで信頼やコスト損失の影響を及ぼしてしまいます。

もちろん、ミスを起こさないための体制づくりや注意喚起の継続は重要です。しかし、DTPの黎明期以降、ワークツールやフローのデジタル化が進んだ今日においてもなお、同じようなミスが繰り返される現状に、正直手詰まりを感じている方も多いはずです。
そんな時は、少し視点を変えてみてはいかがでしょうか?

ヒューマンエラー=起きるべくして発生した「仕方のないこと」として諦めるまえに、なにか有効な施策があるのでは?――このシリーズでは、事故防止への取り組みについて考察していきたいと思います。

社内チェック〜事前のコミュニケーションが大切〜

誤表記は、単純に人員やチェック時間を増やしただけでは見つかりません。

事例を挙げてみましょう。

DTPの制作では、過去のデータを流用して更新作業することが多くあります。
Aさんは作業者Bさんに「前回データを流用して修正してください」と指示をし、できあがったデータを入稿しました。
ところが後日、刷り上がりの一部にテキストの表記ミスが発見されてしまったのです。

データは前回の流用だからテキストは校正する必要がなかった筈なのに……何故?

 

実はBさん、前回データではない別のデータを流用し、さらにテキストを手打ちで修正していました。
Aさんは前回データの流用であれば、テキストのチェックは不要と強く思い込み、
一方、Bさんは前回データではなく、よりフォーマットが近い別のデータをベースにした方がラク、と判断していたのです。


これはデザイン変更とテキストの修正、どちらをベースに更新した方がより効率的かの認識にお互いズレがあったために生じた、典型的なミスです。AさんとBさんのように、お互いのコミュニケーション不足が思わぬチェック漏れの原因になる可能性もあるのです。

 

まとめ

校正にあたっては、いきなり作業に入るのではなく、修正の経緯(「テキストは手打ちした」「見出しはコピペした」など)の確認も含めて事前にお互いコミュニケーションを取り、より広い視野でチェックを行うことが誤表記を減らすコツです。

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