CJコラム

紙媒体の制作/印刷における事故を防ぐには?〜vol.2〜

※このシリーズでは、印刷事故防止の取り組みや施策についてご紹介しています。

2020オリンピックイヤーの影響を受けてでしょうか、日英+中国語、韓国語、アラビア語、タイ語、、、街中のさまざまな場所で、多言語併記で書かれた案内板やパンフレットを目にする機会が増えてきました。このページをご覧のみなさまの中にも、外国人向けの制作物に携わった経験のある方は多くいらっしゃると思いますが、日英以外の言語―第三言語の翻訳校正やチェック、どのように対応されていますか?

「最終チェックはネイティブのライターやチェッカーにまかせておけば大丈夫でしょ!」

そう考えている方もいるかと思います。残念ながら、それは思わぬ誤訳や事故につながる可能性があります。今回は、弊社が実践している第三言語チェックのポイントを紹介します。

多言語翻訳は日本人による第三者チェック*が有効

実は、日本の固有名詞や由来の食材、地名については多言語の分かる日本人によるチェックが有効です。なぜなら、日本人であれば第三言語と英語の照合だけでなく、日本語との照合も可能だからです。具体的な事例を挙げましょう。

以前、弊社で「California roll(カリフォルニア巻)」という英語メニューの翻訳を第三言語のネイティブライターに発注したことがありました。
みなさんもご存知のとおり、このメニューは巻き寿司の一種なのですが、納品コピーをチェックしたところ「カリフォルニア ロールブレッド(パン)」と誤訳されていることが判明。
急いで、ネイティブ翻訳者に確認したところ、英語の「roll」=ご飯を「巻いた」料理だとは予測できず、英語の語感から自然にロールパンを連想してしまったとのこと。また、ネイティブチェッカ―も英語との照合チェックが主だったため、この翻訳自体が間違いであるという認識がなかった、という二重のミスが誤訳の原因でした。


このように、ネイティブが必ずしも日本由来の食文化や情報に精通しているわけではありません。
チェックを彼らに任せきりにするのではなく、日本人の視点によるチェックを入れ、日本語の表記であいまいな箇所は情報を精査し、不足と思われる情報は必ずフォローしましょう。一見煩雑なように思われるかもしれませんが、このワンステップが誤訳を防ぎ、多言語翻訳の品質アップにつながるはずです。

*元翻訳者以外のチェッカーがコピーライトを校閲すること

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