CJ Column

コラム

実はよくわかっていなかった言葉たち~その2「漁夫の利」~

AさんとBさんがごちゃごちゃ揉めている隙にCさんがおいしいところを全部持って行ってしまう。
簡単に言うとそういうお話ですね。
林修先生じゃないですが、ではここでいうAさん、Bさん、Cさんに相当する、本来の登場人物は何者なのか、皆さんはご存知ですか?

実はこれ、シギという水辺に住む鳥が、ハマグリの肉を食べようとクチバシで突いたところ、そうはさせまいとハマグリが貝のフタを閉じて、シギのクチバシを挟んで防戦したところから端を発したものです。
「どうせ今日も明日も雨が降らなければ水が切れて、死んだハマグリになるくせに」とシギがハマグリに言い、ハマグリも「そっちも今日も明日もクチバシを出せずにいたら、飢えて死んだシギになるくせに」と言い返し、そんな押し問答しているところに、漁師がやって来て、シギもハマグリも一緒に捕らえてしまったという『戦国策・燕』にある故事にもとづくお話だそうです。

つまり、Aはシギ、Bはハマグリ、ひとり得をしたCは「漁夫の利」の文字通り、漁師だったのですね。

これが英語の世界だと、

Two dogs fight for a bone and the third runs away with it.
(二匹の犬が一本の骨を得ようと争い、三の犬がその骨を持って逃げる)

と言うのだそうです。
A、B、Cの登場人物は、欲深さを表す象徴として、全部「犬」になってしまうのと、そのまま人間社会にも当てはまるようなリアルな例えで、気づいた二匹の犬が後から追いかけて、そのあと三匹で争うあらたな騒動になりそうな気さえします。

一方で故事では、水鳥とハマグリが言い合いすること自体がメルヘンの世界で、そこに現実世界のリアルな天敵である漁師が「はいはい続きは網の中でやってね」と言わんばかりに、言い合いに夢中なシギとハマグリを一網打尽にして完結というオチに、シタリ顔した漁師の表情さえ思い浮かぶ、滑稽にして、どこかユーモラスでさえありますね。

 

これが世にいう「漁夫の利」か!というものを、いつか身もって体験してみたいものです。
宴会で、最後にひとつだけ残った料理を遠慮しあって手を出さないでいると、いつの間にかなくなっているようような「逆漁夫の利」みたいな場面にはなぜか良く遭遇しますが。。。

H.K  プロデューサー

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