CJコラム

第64回広告電通賞展

◆振り返らなければならないコンテンツの重要さ
WEB制作の現場にいながらも、新技術の追求や、与えられたミッションに対してどう遂行していくかという思考など、時々疎かにしてしまい、機械的に作業してしまうことがあります。エモーショナルな部分が欠けているなと反省することしきり。
一方で、それらも大事なことの一つではあるが、あくまでアウトプットするための手段であってボディーそのものではないと、私は認識しています。
私の使命は、クライアントや製品がもっている伝えたいことが、適切且つ効果的にターゲットに届いているか、それらは最適な技術でスムーズに展開できているか、それを考え抜くこと。その思考の材料になればと思い、先輩たちの声を聞きにアド・ミュージアム東京へ足を運びました。

◆広告電通賞展とは…
「広告電通賞」は1947年に広告の社会的・文化的水準の向上を目的として設立されたもので、新聞、雑誌、ポスター等の紙媒体からラジオやテレビ、インターネットなど、あらゆるカテゴリの広告を網羅した賞です。
受賞先品はどれもクオリティーが高く、新聞の一面広告など迫力のあるものも多くて見ごたえのあるものでした。
また今回の企画展である「広告電通賞」だけでなく、江戸時代から現代までの広告の推移も展示されており、当時使用されていたポスターの実物などを通じ改めて広告の面白さを楽しめるものになっています。

◆涙を堪えながら見たCMの数々
どの広告も魅力的なものばかりでしたが、そのなかで特に見入ってしまったのはテレビ広告の入賞作品のブースでした。
約40分間にわたり入賞作品が繰り返し再生されていましたが、私は結局時間いっぱいそこで過ごしました。
たった数十秒の短いCMの数々ですが、どのストーリーもたいへん良く出来ており、深い感動をたっぷり味わった後に社名ロゴなんかが出てくると、”あぁやられた”と思わず膝を打ってしまいます。単なる広告としての映像ではなく、まるで短い映画を見ているような感覚で見入ってしまっていたからです。
それも次々と素晴らしい作品が連続でとめどなく再生されるので、すっかり感極まってしまい、後半は涙を堪えるので精一杯でした。よくみると周りの観客たちも伏し目がちに口元を手で抑えたり、鼻をすすったりなど、そわそわとしていました。みんな同じ気持で見ていたのかもしれません。

特に以下のふたつの広告電通賞は感動しました。改めて人と人とのコミュニケーションって素晴らしいなぁと思いました。

【広告電通賞:東京ガス CM 家族の絆・お弁当メール篇】

何気ない日々の中にある小さな感動を積み重ね際立たせた「お弁当メール」。お弁当で繋がる家族の絆って温かいなぁ。自分の学生時代を振り返ると今すぐ母に謝りたい気持ちになりました。
過ぎ去ってしまう小さな感動が暮らしの中にあり、しっかりとキャッチした内容だと思います。これを観ると、母に、食に、東京ガスにありがとうって言いたくなりますよ。

【準広告電通賞:九州新幹線全線開業 祝!九州縦断ウェーブ CM「総集編」180秒ver.】

九州をみんなで繋いだ楽しいお祭「九州縦断ウェーブ」。みんなで喜びを分かち合うってなんて素晴らしいんだろう。知らない人と同士が、同じ思いを共有する。居ても立ってもいられなくなって、私は会場を出た後小走りしました。

◆コミュニケーションアート
「みんなに伝えたいことがある」
人間は通じ合い、分かり合えると感動する。広告を作る上での基本的なことを改めて教えられたような気がました。
広告制作の最終的な目標として売上を伸ばすという数字上の目的があるにせよ、込められたメッセージにハートが無いと人間の心には響かない。
論理的な分析や手法とともに”アツイもの”も忘れない、そういうコンテンツ作りを常に心がけたいと身が引き締まった展示でした。

展覧会情報

◎第64回広告電通賞展
会場:アド・ミュージアム東京(入場無料)
会期:2011年7月5日(火)~7月24日(日)
主催:公益財団法人 吉田秀雄記念事業財団/広告電通賞審議会
協力:株式会社 電通

 

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