http://plaza.bunka.go.jp/festival/
いまどきの“メディア”とは、なんだろう?
Mediaとは何か?
“メディア(Media)=媒体”と直訳できますが、日々技術は進化し、人々の生活習慣も変わっている中では、“メディア”の定義も変化している気がします。
『文化庁メディア芸術祭』は、私も今までに何回が見たことがありまして、毎回面白い発見があります。今回の芸術祭は、主に日本国内から作品を公募していましたが、海外からの出展作品も多少増えてきているようです。作品は、「アート」「マンガ」「アニメーション」「エンターテインメント」と4大部門に分けてありますが、まずは気になった作品をいくつか紹介していきます。
■アート部門
アート部門は、映像作品が多く出展されていることが特徴的でした。
“Factory of dream”は小さな映像作品ですが、シンプルで心温まる動画でした。
インタラクティブで実用性がある“The EyeWriter”も印象的です。目で文字を打つことが出来ます。役に立つテクノアートでした。
“百年海図巻”は迫力ある波の映像を、一風変わった表現で見せてくれました。
■マンガ部門
「マンガ」は、まさに日本の重要文化であり財産だと思います。
新田次郎氏による小説作品“孤高の人”、坂本眞一氏が作画を担当しています。精密なディテールと構図、作画力には衝撃を受けました。
彼以外の他の新人作者たちの作品にもそれぞれ特徴があり、日本のマンガ界をさらに大きく開花させる予感がしました。
■アニメーション部門
優秀賞の一つ“フミコの告白”。テーマは単純なものですが、スピード感に溢れていて、面白い表現手法になっていました。
“The Wonder Hospital”は海外からの作品で、ちょっとダークなものですが、「人間が求めるもの」は一体何なのかという事を考えさせる作品でした。
アニメーション作品については、もう少し他の作品にも触れたかったのですが、1つの作品を鑑賞するのにも、結構な時間(ムービーの尺と本数)が掛かりますので今回は断念。
■エンターテインメント部門
TVゲーム、NINTENDO DSソフトなどが展示の主役になっていました。映像品質としては、やはりゲーム特有の「刺激」に溢れています。
ウェブを使ったのインタラクティブな作品もありますが、いずれの作品についても、操作方法は説明書を読まないと分からないものが多く、展覧会で触れられるのは短時間ということもあり、もう少し分かりやすいインターフェースにする方がよいではないか、というのが展覧会参加者としての総評です。ちなみに、去年盛り上がりを見せた3D映像に関しては、思ったよりも出展量が少なっかたのが印象的でした。
■「学生CGコンテスト受賞作品展」(協賛事業)
学生の制作による面白い映像を、たくさん堪能することができました。若い学生の作品からは、新しい技術への挑戦と野心が見てとれます。たいへん素敵なものでした。
今回のメディア芸術祭は、総じて、今までよりも映像作品が多く、映像が今後重要な役割を担っていくのではないかと感じさせられました。
“メディア”とは何か、に立ち返ってみると、「映像」はメディアに欠かせないものと言えるでしょう。「映像」は何よりも非常に目立ちます。作り手が届けたいメッセージを目にインプットし脳裏に焼き付けるには、一番簡単な方法と言えるかもしれません。
「映像」を制作物として作り上げるためには、ロケに行って撮影したり、セットで撮影したり、さらにその後に2Dや3Dグラフィックと合成、編集なども行う必要があります。制作分野が違う会社としては、それらを手がけるためには、新しい設備やノウハウや技術投資が必要であり、すぐに制作できるものではありませんが、TVの地デジ化、インターネット・スマートフォンなどの進化によって、「映像」がメディアとしてとても有力なツールとなることは間違いありません。
私はそれらについては多少経験がありますが、今後もっと知識や技術についても発展させることができればと思います。
展覧会情報
◎第14回文化庁メディア芸術祭
会期:2011年2月2日(水)~2011年2月13日(日)
主催:文化庁メディア芸術祭実行委員会[文化庁・国立新美術館・CG-ARTS協会]
http://plaza.bunka.go.jp/festival/