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ポストコロナ:現状の訪日外客増減の鍵は、いまだ「航空」にあり

ハロウィンイメージ

渋谷のハロウィン禁止で残念がっている外国人がニュースで取り沙汰されていた昨今ですが、JNTOから、2023年9月の訪日外客数推計値が発表されました。

これによると、2023年9月の訪日外客数は、2,184,300人、コロナ前の2019年9月と比べると、96.1%という数値でした。

訪日中国人がほとんど戻っていない(2019年9月の40%)ことを考えると、むしろ大幅に増えているという状況です。

尚、中国の海外旅行制限措置は、8/10付けで撤廃されており、それでも回復値が40%に留まっている実状は、様々な政治的な要素も絡み、しばらく急回復は見込めない状況であると言えるでしょう。

一方、大幅に増加している国は、韓国(同年月比183.4%)、北中米、東南アジアとなっており、背景としては、航空便の増加が大きな要因となっています。

 

コロナによって、航空便の減便や休止が顕著であったのは、日本国内の地方空港発着便です。地方空港発着の国際便としては、近距離・中距離路線が主力であり、就航先は東アジアが大半になっています。ここの増便が、特に韓国からの訪日外客数を飛躍的に伸ばしている直接的な原因となっています。

しかしながら、同じく地方空港の主要発着相手である台湾や中国(および香港)が思ったほど増加していない理由として、旅行代金の高騰が挙げられています。2019年と比べると、航空券だけで、約3倍の値段になっており、少なからず訪日を躊躇する状況があるといえるでしょう。

日本へ飛ぶ飛行機の座席数は、コロナ前と比べてまだ6割程度の回復に留まっていることを考えると、就航便数が戻ることによる価格低下余地は十分にあると言う専門家の言もあり、徐々に韓国以外の東アジアからの訪日外客も増えていくだろうと言われています。

しかし、昨今の物価高や、イスラエルを中心とした中東情勢の不安定化懸念から、燃料費の高騰気配もくすぶっており、旅行代金の上下に訪日外客数が大きく影響される背景があります。また、一方で、コロナ前と比べて減少した4割の席数は、すでに廃業した格安航空会社のものであったため、席数が増加したとしても、価格は高いままであるとする専門家の論もあるため、やがて旅行代金が、コロナ前の水準に落ち着くとまでは言い切れないとも考えられます。

東アジアからの訪日外客数のさらなる増加については、馬なりとまではいかないのではないでしょうか。

 

東南アジアについては、9月はイスラムの祝日(ムハンマド生誕祭)があるため、例年増加傾向となりますが、やはりここも航空便の増便による訪日外客数増加が理由となっています。しかし、やはり海外旅行代金の高騰は発生していて、海外旅行者総数は増えていないことから、インセンティブツアーなど、旅行者支援が手厚い国を海外力先に選択する傾向が強いです。

そのため、国レベルのキャンペーンを拡大継続し、競争力を保つ必要があるといえるでしょう。

 

北米および一部のヨーロッパ各国からの訪日外客数の増加は、為替(円安)による手頃感というのが一つ大きな要因として挙げられます。また、コロナ禍で旅行を控えていた時期があったことにより、長期・遠方といった、頻繁にはできない渡航先へのニーズの高まりに対して、日本へ足が向いているという背景もあります。

 

各地域、様々な訪日理由がありますが、やはり、航空網、旅行代金といった、最も根源的な理由が訪日外客数を大きく左右するという、まだ、海外旅行産業再生立ち上がりの不安定な局面にあると言えるのではないでしょうか。

裏を返せば、コロナでリセットされて、チャンスが広がったと採ることもできるでしょう。

 

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