2018年、訪日外国人が年間3,000万人を突破し、主要観光地においては外国人の方が日本人より多いというのも普通になってきている気がする昨今、先般のラグビーワールドカップの際の報道でもあった、訪日外国人のマナーの悪さが一方の課題となっています。
ゴミのポイ捨て、泥酔トラブル、路上喫煙、進入禁止箇所への無断侵入とそれに伴う器物破損などです。
正直、上流階級の方が出入りするところ以外のヨーロッパ諸国の日常生活風景を知っている方からすれば、「意外ではないけど?」という話ではないでしょうか。駅を出た直後にたばこを吸ってその場にポイ捨てし、ハンドトスの食べ物が食べ終わったら道ばたに紙袋を投げ捨てる。こんなことは、別にレアな光景ではありません。つまり、マナーが悪いなと我々が思っていることは、彼らからすれば、別にマナー違反をしているつもりは毛頭無い(かもしれない)わけです。
これに対して、多くの論調は「現地語でちゃんと看板や注意書きを設置し、事前に伝える努力をしていないからだ。」と言いますが、これは決定的な解決策にはなりません。インバウンド対策が進んでいると言われている京都などでマナー違反が問題になっている現状をみれば明らかでしょう。
「言ったはずです、見たはずです。」といくら言っても、発生した損失はどうにもなりません。
訪日外客向けにビジネスをする際には、日本人を相手にする感覚のままで、形だけインバウンド対策をしても、痛い目を見ることの方が多いです。有識者や経験者に話を聞き、調査をし、リスクを見極めて許容できるリスクの範囲を鑑みて対応を検討する、といったプロセスを踏んで、訪日外客向けのビジネスを考えるべきですが、そこまでしなくともある程度リスクを回避する方法はあります。
・外国人を型にはめる。
サービスレベルを明確にし、イレギュラー対応は一切受けない。というオペレーションを明確にしたところからはじめると、余計なトラブルは避けられます。
・先にお金を取る。
商品提供より先に、予約時点でなど、ドタキャンなどがあってもダメージを避けられる状況を徹頭徹尾貫きましょう。仮にそれで予約率が下がったとしても、です。
・1人分の人件費を販売価格に上乗せする。
ゴミの片付け、発生した問題への再発防止対応など、サービス提供の円滑化に余計なコストが発生することはあり得ます。これを読んだ価格設定をすべきです。
海外ではこれらは「チップ」として根付いていますね。日本はチップの文化がないので、感覚的にこうした理由による値上げは非難されがちですが、損をし続ける商売は、根本的に意味がありませんので。
・マナーを守るべきという考え方は捨てる。
本コラムで述べているように、客が守ってくれるはずだという考えは甘さだと肝に銘じておく。
悲しいようですが、これが一番物理的にも、心理的にも重要です。
行列には人を配置し、列整理、誘導、交通整理、ゴミの回収、近隣の清掃などを専門に行うスタッフを配置するなどです。
何か、外国人が嫌な人と言っているような論調になってしまっているかもしれませんが、そのつもりはありません。もし、そう思われてしまうのであれば、お詫びします。お客様のことを理解して、正しく接することでお互い嫌な思いをせず、気持ちよく接しましょう。というのが、本コラムの趣旨です。