JNTOによると、2018年間訪日外客数は3,119万2千人(推計値)を記録し。観光庁「宿泊旅行統計調査」によると、2018年(速報値)の訪日外客延べ宿泊者数は、7,900万人を超えました。単純計算すれば、平均2.5日滞在ということになります。
これらの数字を国別に眺めてみると、2018年の訪日外客数上位は以下の様なグラフになっています。
出典:日本政府観光局(JNTO)2018年訪日外客数/観光庁「宿泊旅行統計調査」
ただし、この訪日外客数という数字は、基としたJNTOの資料にもしっかりと注釈があるとおり、一時上陸客、駐在員とその家族、留学生を含む数値です。つまり、一般的な印象である、観光およびビジネスで日本に来た方よりは多くなっています。(これは今回の2018年データだけではなく、全てそうです。)そして、観光庁のデータは宿泊施設からの報告を統計した物ですので、上記の表の通りに「延べ宿泊数(観光庁)÷訪日人数(JNTO)」という単純な割り算をして宿泊日数を求めると実態よりも短く見えることになります。様々な出典のデータを参照しながら計算すると、概ね3.9泊程度が観光客の平均宿泊数の実態と推計されます。
2014年頃と比較すると、平均宿泊数はやや減少しているように思われますが、理由の一つは、訪日客数上位に。日本と比較的距離が近いアジアの国々が増えている事が挙げられます。タイ・フィリピン・インドネシア・ベトナムに関しては、訪日数増加が著しいです。特にタイは、東南アジア諸国で初めて訪日客数100万人超えを記録しました。東南アジア地域の訪日客は、全体の約11%を占めており、中国・韓国・台湾が近年毎年過去最高の訪日客数を記録している中でも、シェアを伸ばしています。
東南アジア諸国はこれまで、海外旅行と言えば、近隣国というのが大半でしたが、所得および可処分所得の増加、富裕層の安定増加、日本向け航空路線の就航および増便、ビザ発給およびビザ無し滞在要件の緩和などが背景にあります。中でも、個人視点としては、移動手段である航空路線が最も大きな理由と言えるでしょう。東南アジア各国の政情と経済に大きな変調がなければ、オリンピック以降も先数年に渡って安定した訪日客数の増加が見込まれています。
次に訪日外客が宿泊している都道府県のデータが以下です。
出典:観光庁「宿泊旅行統計調査」
上位の顔ぶれは、昔からあまり変わっていません。2018年は、やや愛知県が頑張ったような感じでしょうか。個別に見ていくと以下の様な特徴がありました。
・西ヨーロッパの国々は、ベスト10に北海道が入っていない。
(母国も冬が寒いのに、わざわざ寒い北海道には行かない。そして、そもそも就航便がない。)
・西ヨーロッパの多くの国では、ベスト10に大阪が入っていない。
(訪問はするが、滞在は近隣県の模様。)
・欧米を中心に岐阜県での宿泊が多い。
(街全体が本気で訪日外客誘致に力を入れ、インスタグラムなどSNSが奏功している顕著な例の一つ。)
・東南アジアの多くの国々は、ベスト10に沖縄が入っていない。(母国が暑いのに、わざわざ暑い沖縄に行かない。就航便も少ない。)
・欧米および旧イギリス連邦諸国は、広島がベスト10に入っている。(オバマ前大統領、第二次世界大戦に関連して。)
・韓国は九州北部各県がベスト10に入っている。(就航便が多く、近い。)
・ベトナムは唯一福島県がベスト10に入っている。(官民の交流が盛んで航空便就航がある。)
・思ったより京都に宿泊しない。(都道府県別訪問外客数に比べての話。)
・富士山を巡る軍配は、山梨県に挙がった。(静岡県はわずか約8万人差の11位でした。)
・新幹線効果で、石川県の滞在客数がやや増えている。
以上、2018年の訪日外客の一端をご紹介しました。