AI Overview時代の英語サイト戦略:構造編

前回のコラムでは、検索の入口がAIへ移りつつあるいま、英語サイトは「AIに理解され、引用されるレベルで整える必要がある」という話をしました。
今回はその中でも、最初に取り組むべきテーマ、「情報の構造(Information Structure)」 について掘り下げていきます。
AI Overviews が参照するのは、単に「英語で書かれたページ」ではありません。
AIが論理的に読み取れるよう、情報が整理されているページ です。
人が読むことを前提にした文章構成と、AIが理解できる構造は似ているようで大きく異なり、ここを押さえられないまま翻訳だけを整えても、AIに引用されることはほぼありません。では、AIにとって「構造が良い英語ページ」とはどのようなものでしょうか。
1. AIは「論理的に並んだ情報」しか理解しない
AIは人間のように前後の文脈を補完してくれません。
日本語サイトの内容をそのまま訳した英語ページによくあるのが、
- 見出しと内容のズレ
- 前提の説明が抜ける
- 節の役割が曖昧なまま並ぶ
- 結論がどこにあるのか分からない
といった構造的な問題です。
人間はある程度“空気を読んで”理解できますが、AIは論理構造の欠損にとても敏感です。
構造が崩れたページの情報は、正確に解釈されず、結果として AI Overviews の参照候補に入らない のです。
2. 必須となる「英語サイトの基本構造」を決める
SGE(注)時代にAIが読みやすいホームページの構造は、以下のようなシンプルな体系です。
- Overview(概要)
- Key Features / Strengths(特長・強み)
- Why it matters / Background(背景・価値)
- How it works / Usage(仕組み・使い方)
- Evidence / Achievements(根拠・実績)
- FAQ(よくある質問)
- Contact or CTA(問い合わせ・次のアクション)
これは、海外企業のコーポレートサイトやサービス紹介ページで広く採用されている“標準的なWeb構造”であり、AIにとっても最も理解しやすい形式 になっています。
一方で、日本企業の英語サイトによく見られるのは、
- 日本語の章立てをそのまま英訳している
- 前提情報が抜けている
- 文章が抽象的で、目的が明確に読み取れない
といったパターンです。
こうしたページは、AIにとって「何のページか」「どんな価値があるのか」が把握しづらく、結果として AI Overviews の参照候補から外れやすくなります。
注:SGEとはSearch Generative Experienceの略で、Google検索に生成AIを組み込み、複数の情報源を要約して検索結果冒頭に提示する仕組みです。
3. 情報構造は「英語翻訳の前」に決めるべき理由
前後の文脈や背景情報が欠けたまま翻訳を始めても、
英語は自然でも構造は日本語のまま、という状態が生まれます。
すると、
- AIにとって読みづらい
- 検索意図に沿わない
- AI Overviews に拾われない
という問題が残ったままになります。
逆に、構造を設計してから翻訳すると、AIにとって解釈しやすい文章が生まれます。
SGE時代に強い英語サイトは、例外なく「構造を先に決めている」サイトです。
4. FAQを置くとAIが理解しやすくなる理由
前回のコラムでも触れましたが、FAQはAIが最も参照しやすいフォーマットのひとつです。
理由はシンプルで、
- 質問=ユーザーの検索意図
- 回答=企業の一次情報
という“セット”になっているため、AIにとって扱いやすいからです。
特に、
- 「〇〇とは何か?」(定義)
- 「どう使うのか?」(How-to)
- 「メリットは?」(価値)
- 「他社との違いは?」(比較)
といったFAQは、AI Overviews が引用しやすい典型的な情報構造です。
FAQを置くだけで、英語サイトの“AI対応力”は大きく変わります。
5. 「AIが拾う情報」を意識した構造が不可欠
AI Overviews が参照するのは、網羅性のある情報ではなく、「検索意図に沿った、目的に応じた構造化された情報」 です。
例えば、以下のようなページ構造はAIに選ばれにくくなります。
- 抽象的なメッセージが長く続く
- カタログの寄せ集めのように情報が並ぶ
- 企業都合で情報を並べた“社内資料的”ページ
- 背景の説明が曖昧で、AIが前提を補えない
こうした構造は、AIにとっては「判断しづらい情報」です。
これからの英語サイトに必要なのは、AIが迷わず読み取れるよう整理された、論理構造にもとづくコンテンツ設計。
これが、英語ページがAI Overviewsに引用されるための前提条件になっていきます。
おわりに:構造は「AIに選ばれる英語サイト」づくりの最初の一歩
AI Overviews 時代の英語サイト戦略において、
最初に見直すべきは 情報構造そのもの です。
- 何を最初に伝えるのか
- どう章立てすればAIが理解しやすいか
- どこに背景や一次情報を置くか
- FAQをどう設計するか
こうした構造的な判断が、
“AIに選ばれるかどうか” という新しい評価軸に直結しています。
次回は、同じく重要なテーマである英語表現(English Expression) に焦点を当て、AI Overviews に引用される英語とはどのようなものか、具体例を交えながら解説していきます。




