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ラクダの群れにはご用心!?

  ― 商品名に見られる大文字 / 小文字表記 ―

英語のケース(case)をご存知でしょうか?これは文字の「大小」を表す言葉です。一般的にupper caseといえば大文字、lower caseと言えば小文字を指します。ケースという単語の由来は、印刷業で写真植字(写植)が主流だった時代に、大文字ブロックを上段の箱(ケース)に収め、小文字ブロックを下段の箱に格納していたという慣例が転じて、現在の用語を形成したと言われています。

英文は、このようなupper caseとlower caseを使い混ぜ、様々なスタイルの文字列を形成しています。実はこの文字列の使い分けは、広告の表現力にも影響を与えています。
今回は、この大文字、小文字の正しい使い方について、商品名や機能名などの固有名詞に焦点を絞って紹介したいと思います。

■センテンスケース(sentence case)
 例) Citrus solution
文字通り、実際のセンテンスと同様に先頭にくる単語の冒頭のみを大文字にするという、基本的な英文法に則った表記です。複合語を表現する際のデフォルトと見なすことができます。

■オールキャップス(all caps)
 例) CITRUS JAPAN
全てを大文字で表記します。日本国内では慣習的に社名のロゴタイプなどに用いられます。

■タイトルケース(title case)または、イニシャルキャップス(initial caps)
 例) Citrus Consultation Services
複合語の全単語の冒頭を大文字にします。こちらも比較的馴染みのある文字列ではないでしょうか。上記のオールキャップスと並んで、製品名やサービス名、あるいは機能名などの固有名詞に使われるのが一般的です。日常的に最も良く見かけるスタイルです。

ここまでは古典的なケース表記と言えます。以下に紹介するケース表記は比較的新しいものです。TVや屋外看板、電車広告などで目にすることはあるものの、表記名をご存知の方は少ないのではないでしょうか。

■キャメルケース(camel case)
 例) CitrusAnalysis
原則として2語以上の複合語から成る名称に用います。それぞれの語の冒頭を大文字にし、2語を繋ぐための通常のスペースを省くスタイル。キャメル(=らくだ)という名称が言いえて妙です。単語の中で飛び出ている大文字が一見ラクダのコブのように見えることからも、名前の由来を推測できます。

このコラムを読まれている皆さんも、キャメルケースが使われている自社の製品名や機能名を思い浮かべるはずです。そしてその実例が思いのほか多く存在することに気付くでしょう。英文コピー制作に携わる人間として、ここで触れておきたいのは、このキャメルケースが多用されすぎることがあるという問題です。

ちなみにこの表記のバリエーションとして、ロウワー・キャメルケース(lower camel case)と呼ばれるものがあります。複合語の先頭を小文字で書き始めるこれらは、アップル社iPhoneやiPadなどで広く知られています。実はこういったアメリカ発の製品やサービスなどが、このキャメルケースを日本で流行らせた一因であると推測されます。キャメルケースのトレンドは、我々の手がける広告文の中でも非常に顕著です。もともとは主にソフトウェア産業で使用されていたスタイルですが、現在では様々な産業に及び、頻繁に見かけるものとなりました。この傾向は当然のことながら企業のプレスリリースや製品カタログなどのツールに反映されていきます。

キャメルケースは本来、自社や他社を問わず、既存の製品との違いや革新性を表現、伝達するのに相応しいものです。ところが最近では僅か2ページ程のプレスリリースや4ページの製品カタログの中にキャメルケースだらけという例をよく見かけます。担当の企画開発者が自社の新製品(または新機能)を愛おしく想う気持ちを否定するつもりはありません。ただ、その想いが昂じて一切を強調したいという理由で全機能名をキャメルケースにしてしまうと、却って製品の特徴や焦点がボヤけてしまい、ターゲットである一般消費者には「いったい何がウリなの?これまでの製品とは、どこがどう違うの?」と怪訝に思われる結果になります。

キャメルケースはその視認性の特異なことから、事実、読み手の注意を喚起し、興味を掻き立てる効果を持っています。ただし、どんな固有性を持ったものでも、乱用されれば、その強調性は打ち消されてしまいます。

そこで我々がお薦めしたいのは、ここぞという商品や肝になる機能に限定してキャメルケースを使用することです。これにより企業の力の入れ具合が消費者に届くだけでなく、通常表記された既存製品や機能との差別化を図る上で、最大限の効果を発揮するはずです。

 

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